この事例の依頼主
女性
相談前の状況
症状固定後に,肩から胸にかけて瘢痕が残ったが,後遺症逸失利益や後遺症慰謝料は請求できないか,との相談をいただき,示談交渉を行いました。
解決への流れ
弁護士が検討したところ,当該瘢痕の大きさでは,自賠責後遺障害等級が定める外貌醜状の基準に達しないことが判明し,後遺症に関する請求をすることは難しいように思われました。しかし,それでも何らかの請求ができないか,再度調査検討しました。そうすると,自賠責後遺障害等級に達しない後遺症についても慰謝料を認めた裁判例がありました。そこで,保険会社と示談交渉をするあたり,瘢痕の状況や精神的苦痛を基礎づける事情を具体的に主張した上,前記裁判例を引用し,後遺症慰謝料の請求をしました。その結果,治療費,休業損害,通院慰謝料等に加え,後遺症慰謝料100万円を勝ち取ることができました。
交通事故において,損害賠償を請求するにあたっては,裁判,示談にかかわらず,裁判例を深く調査検討することが不可欠です。また,無数にある裁判例の中で,事案に適した裁判例を調査することは,一般の方にとっては大変困難が伴うものです。本事案では,弁護士としての専門知識を生かし,依頼者の利益を最大限実現することができました。