犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

推定相続人廃除の審判(息子の横領を肩代わりして返済した母親のケース)

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山﨑 倫樹 弁護士が解決
所属事務所川村篤志法律事務所
所在地神奈川県 川崎市川崎区

この事例の依頼主

80代以上 女性

相談前の状況

依頼人の息子は、過去にも勤務先で多額の金銭を横領し、お母様が返済を肩代わりしたことがありました。それにもかかわらず、またしても転職先で同じような行為を働き、身元引受人であるお母様が転職先から弁償を求められていました。2度も肩代わりをすることになったお母様は、他のお子様のためにも、自らがお亡くなりになった後の相続では遺産をその息子に取得させるわけにはいかないとお考えでした。

解決への流れ

お母様の意思を実現する一番簡単な方法は、他の相続人にすべての遺産を相続させるという遺言書を作ることです。しかし、息子には遺留分(最低限度の取得分)があるので、お母様の意思を完全には実現できない可能性が残ります。そこで、推定相続人廃除の審判という方法をご提案しました。これは、虐待などの著しい非行があった者が相続する資格を剥奪してしまうものです。廃除された者は、遺留分の権利も与えられないため、非常に大きな効果があります。その方法は、①遺言書に廃除の意思を記しておき、死後に裁判所に認めてもらう方法と、②生前に裁判所に認めてもらう方法の2つがありますが、私はお母様がお元気なうちの生前の申立てを選択しました。各種の資料をすべて準備し、横領や弁償の事実が明白であることを確実にした上で家庭裁判所に申立てを行った結果、廃除審判を獲得することができました。

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山﨑 倫樹 弁護士からのコメント

推定相続人の廃除を裁判所が認めるケースは、全国でも年間50件に満たないといわれています。審判を獲得するには、「虐待」「重大な侮辱」「その他の著しい非行」を示す十分な証拠を提出するとともに、これらの要件に該当することを説得的に主張する必要があります。親族関係のもつれから相続に不安がある方は、まずは弁護士に相談して対策をとることをおすすめします。