この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
依頼者の方は、ロッカー室で、棚が倒れてきた際、腰を強打して半年ほど治療したとのこと。労災保険で後遺障害14級9号も認められたが、会社が労災保険以外は払う必要がないと補償を拒否していた。
解決への流れ
受任後、会社に対し、 内容証明郵便を送り、交渉を開始した。会社は補償を一切拒否したため、労働審判を申し立てした。労働審判では、会社側は、労災保険の申請を認めたにもかかわらず、ロッカー室で、棚が倒れた事実自体を争い、腰の後遺障害も持病があったので、認めないと主張したが、労働審判委員会は、こちらが提出した棚の写真や労災認定の資料に信憑性があるとして、会社側に解決金を支払って和解するように強く求めた。結局、会社も労働審判委員会には従う意思を示し、依頼者希望の解決金で和解した。
労災事故については、なかなか認めようとしない会社もあります。そんなときは、弁護士に依頼して、労働審判の申立てをするとよいでしょう。労働審判は、迅速な解決を図るため、原則として半年以内に3回の期日で解決となります。この事件では、会社側から、腰部脊柱管狭窄症は加齢によるもので、事故による後遺障害ではないとの反論がありました。たしかに腰部脊柱管狭窄症は、加齢が主な原因です。しかし、裁判実務では、事故を契機に腰部脊柱管狭窄症が悪化して、腰の治療を開始したのであれば、事故との因果関係はあるとされています。このことを裁判文献を提出して、強く主張したところ、労働審判委員会も、こちらの主張を認めてくれました。交通事故の後遺障害でもよく問題となる論点なのですが、医学的専門知識の有無が、労災事故でも極めて重要です。弊所の弁護士は、医療過誤事件も多く扱っており、医学的知識も豊富で、数多くの労災事故を扱ってまいりました。労災事故に遭われたら、まずはお気軽に相談してみてください。