この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
相談者は賃貸アパートに長年住み、大家さん夫婦とも良好な関係を築いてきましたが、ある日、大家さん夫婦を見かけなくなり、突然、大家さんの親族を名乗る人物が現れました。その人物は、相談者が5年以上にわたり賃料を滞納していると主張し、数百万円もの賃料を請求してきました。そのうち、大家さんの代理人を名乗る弁護士を通じて同じ請求が届いたことから、驚いて私の下に相談に来られました。
解決への流れ
大家さん夫婦は、賃借人とのつながりを大事にし、賃料の授受を現金で行っていただけでなく、以前は領収書の発行もしていませんでした。また、賃料を減額した後も、新たな契約書は取り交わしていませんでした。このように、ある意味「なあなあ」で賃貸借関係が続いてきといえますが、賃料の支払請求に対しては、賃借人側が支払った事実を証明しなければなりません。本件は、理論からいえば相談者が苦境に立たされる状況でした。しかし、相手の請求内容は、数年前に大家さんが賃料を減額した事実を無視して金額を計算しており、親族を名乗る人物が大家さん本人の話をまったく聞かず、手許にある昔の契約書だけを材料に事を進めている事態が疑われました。そこで、私は、相手の代理人に対し、賃料減額の経緯も詳しく説明した上、請求内容が大家さん本人の意向であるとは思えないこと、代理人の職務として「大家さん本人」の意向をきちんと聴取するべきであると回答しました。その結果、相手方は請求の大部分を取り下げ、相談者は、この紛争が発生して以降実際に支払いを止めていた分だけを支払うことで解決に至りました。
やや特殊なケースでしたが、ただただ泣き寝入りせずに弁護士に相談した結果、不当な請求を排除し、無用な裁判も回避することにつながりました。