この事例の依頼主
40代
相談前の状況
長年家業を経営してきたご相談者様の親御様の判断能力が落ちてきたことにより、会社の内外でトラブルが発生しており、世代交代を進める必要がありました。ところが経営を引き継ぐご相談者様には法律上必要な権限がなく、課題の解決が進んでいませんでした。
解決への流れ
医師に親御様の判断能力に関する鑑定書を作成してもらい、これをもって家庭裁判所に補助開始の申立て及び経営上必要な代理権付与の申立てを行いました。家庭裁判所はご相談者様を補助人に選任するとともに、必要な代理権を付与する審判を行いました。このことによりご相談者様は、親御様の正式な代理人として会社に関する手続きを行うことができるようになり、経営課題の解決が進むようになりました。
親から事業経営を引き継ぐことは決まっているものの、実質的な経営権は渡されないまま親の判断能力が落ちてしまい、必要な手続きが進まなくなる。こういった事態は現在の高齢化社会で頻繁に発生していると考えられます。このような場合、子世代に円滑に事業を引き継いでいく手段として、成年後見制度の利用が考えられます。本件では、親御様の判断能力の程度に応じて、本人の行為を全面的に代理する成年後見人ではなく、申立て時に必要な行為に限定して代理権が付与される補助人が選任されました。本人の判断能力が落ちているケースでは、このように後見制度を活用することで事業の引継ぎを進めていくことが可能となります。