この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
相談者は、建売住宅を購入したが、10年以上経過後、建物が傾き出しました。建築士に相談して調査したところ、地盤が軟弱であり、地中に廃材等が埋まっていました。また、建物の基礎の根入れ深さも不足しているとのことでした。
解決への流れ
売主(=建物建築主)を相手取って、裁判所に不法行為に基づく損害賠償を求める民事訴訟を提起しました。訴訟においては、軟弱地盤について売主の責任があるのか、10年経過しているので消滅時効ではないかという点が争点となりました。裁判所は、売主が建物基礎の根入れについて必要な深さがあれば地中埋設物の存在に気づいたはずであるとして売主の不法行為責任を認め、売主に建物建て替え費用の損害賠償を命じる判決を出しました。
欠陥住宅問題のうち、地盤の瑕疵は、長期間問題が顕在化しにくい反面、問題が顕在化した場合には建物倒壊の危険等深刻な事態になることが多いと思われます。本件では、建築士の協力のもと、建物基礎の性状の不備という客観的証拠から地盤の瑕疵についての売主の責任を立証することに成功しました。また、欠陥住宅訴訟において瑕疵担保責任の消滅時効が被害者の救済に対する大きな障害となることがありますが、本件では不法行為構成が認められたことで、消滅時効の問題を回避することができました。