この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
土地付きで3階建新築住宅を建てたところ、家の前の道路をトラックが走るだけで家が揺れるということで心配して相談に来られました。
解決への流れ
ご相談を受けて現場に行ってみると、確かに、家の前の道路をトラックが走ると建物が揺れるのが感じられました。また、3階の柱を手で押してみると明らかに揺れていました。一級建築士にも立ち会ってもらい、設計図書と現場とを調査したところ、耐力壁不足に加え、耐力壁の配置が悪いことが主な原因ということが判明しました。そこで、建築業者と交渉しましたが、欠陥住宅であることを認めなかったため、建物の建替え費用等を求めて訴訟をしました。結果は、被告(建築業者)が所有していた別の近隣の土地の上に、本件建物と同等の建物を建築業者の費用で新築することになりました(もちろん、設計・監理は当方の一級建築士が行うことになり、その費用も被告が負担することとしました)。出来上がった建物は少しグレードが上がり満足のいくものでした。
欠陥住宅問題の解決のためには、一級建築士と連携して、欠陥の現象(揺れ)の原因を明らかにし、事前に十分な準備の上、法的根拠を示して訴訟することが重要になってきます。本件の場合、損害賠償金の判決をもらってもよかったのですが、被告にその資金力が十分あるか疑問でしたので、現物支給という方法で訴訟上の和解ができたことは大きな成功例といえます。「裁判では勝ったけれど、損害賠償金は回収できなかった」という事例をよく耳にしますので、この点は先を見越した柔軟な対応が必要になってきます。