犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

亡母の遺産分割で、二女夫婦及び長女の3人が相続人

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田中 宏幸 弁護士が解決
所属事務所田中宏幸法律事務所
所在地大阪府 大阪市浪速区

この事例の依頼主

60代

相談前の状況

亡母は夫と共に農業を行い、長女が跡取りを嫌がって東京に行き、残された二女がサラリーマンをし、夫として養子を迎えたという家族関係でした。夫は一流企業のサラリーマンをしつつ、土・日・祝日は、農作業を行っており、農繁期には有給休暇を取得してまで農作業に従事してきました。亡母は昔ながらの考えを貫き、家計は亡母が握り、二女の給料の大半を家に入れさせてきました。遺産は農地、自宅及び預貯金約4000万円で、長女は法定相続分の3分の1を要求(当初は2分の1を要求)しました。

解決への流れ

亡母は主婦で、亡父の農業収入は赤字であったにもかかわらず、預貯金4000万円もあったことについて、二女夫婦はもとより長女も予想外でした。二女の給料を蓄積していたことは十分推測できますが、これをいかに寄与分として立証するかが大変でした。また、(養子)の夫が献身的に農作業に従事し、農作業に必要な高価な農機具等を購入してきており、亡父母の出費を免れさせた上で農地を維持・管理してきたこと、実家の建物の維持・管理なども、寄与分として立証する必要がありました。二女の就職当初からの給料明細書、生活費としていくらかかっていたかを家族構成を踏まえて、過去何十年分も整理したり、夫の支出にかかる領収書、契約書、注文書、実家の写真等をベースにして、時系列的に寄与内容を一覧表にしていく地道な作業を繰り返し行いました。二女夫婦も協力的でした。調停では、長女が二女夫婦の寄与分を一切認めようとしなかったことから、審判手続に移行しました。審判では二女夫婦の寄与分がかなり認定されました。しかし、長女はこれを不服として抗告しましたが、高等裁判所でも審判内容が指示されたため、解決に至りました。

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田中 宏幸 弁護士からのコメント

本件のような寄与分が認められるためには、客観的な資料をどれだけ提出できるか、資料が不足する部分をいかに説得的に説明することができるかにかかってきます。そのためには、いかに主張・立証すれば、裁判官が寄与分を認めてくれるかを考えていく必要があります。やみくもに苦労した思いを伝えるだけでは足りません。その意味で、本件は先祖代々行ってきた農地を守るために迎え入れた養子と二女が資産を注ぎ込んで実家(農地)を守ってきたという熱い思いと共に、そのために、何をしてきたかを数少ない資料と共に説得的に主張・立証していったことが効を奏したものと思われます。