犯罪・刑事事件の解決事例
#加害者 . #強盗

被害者の被害申告の疑わしさを主張して不起訴を獲得したケース

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梅田 英樹 弁護士が解決
所属事務所つつじ通り法律事務所
所在地静岡県 静岡市葵区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

依頼者は、ある知人Aに事業資金として数十万円を貸し付けていたところ、Aが約束通りに返済してくれないため、Aと話し合う場を設けました。そこには、間を取り持ってもらうため、共通の友人B・Cも呼びました。そこで、双方が譲り合って、返済のプランを組み直し、合意をしたはずでした。しかし、Aは依頼者から恐喝を受けたと警察に被害届を出したようで、それによって逮捕されてしまいました。

解決への流れ

貸したお金の返済を請求する行為も、やり方を間違えると恐喝罪になってしまう可能性があります。特に返済してくれない人物が相手だと、誰でも怒りがこみ上げ、感情的な言動をしてしまうものです。なので、この点については、依頼者の主張を鵜呑みにすることなく、かなり慎重に事情聴取しました。その後、Bとも電話で話すことができ、依頼者の主張が100%真実とは言えないまでも、概ね依頼者の主張どおりであるとの確信を抱きました。否認事件の場合、黙秘権を行使することが多いと思いますが、この事件では、むしろ積極的に供述して裏付け捜査を進めさせることにしました(もちろん、供述すべき内容は、接見時に綿密に打ち合わせしました)。また、検察官に知っておいて欲しい事柄は、その都度検察官にも伝えるようにしました。結果、検察官も不起訴にしてくれました。

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梅田 英樹 弁護士からのコメント

被害者が意図的に嘘の被害届を出したのか、それとも後ろめたさや恐怖心から依頼者の言動を曲解して被害意識をもったのかはわかりません。ただ、こういった状況下で、被害者側が大げさな申告をしてしまうことはよくあり、しかも捜査機関側はそれを信用しがちです。この事件では、BやCが依頼者寄りの証言をしてくれたからこそ、依頼者の供述を信用してもらえましたが、そのような証人が得られる事件ばかりでもありません。有利な証拠と不利な証拠をいかに早く把握し、それをもとに最も有利に導ける捜査対応を、早期に検討することが大事です。なお、この事件では、BCの存在が逆に口裏合わせによる証拠隠滅の可能性につながるとして、早期の身柄解放は実現できませんでした。検察官が関係者らの事情聴取を急いで実施してくれ、満期前に不起訴にしてくれたのは確かなのですが…今の日本の勾留制度のもとでは、これが限界なのかもしれません。