犯罪・刑事事件の解決事例
#少年事件 . #不同意性交(強姦)・わいせつ . #加害者

強制性交等罪(現不同意性交等罪)の触法事件で施設収容を回避できた事例

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奥川 惠司 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人ユア・エース
所在地東京都 中央区

この事例の依頼主

10代 男性

相談前の状況

同級生の女の子に対し、自身の性器を口にくわえさせようとして警察に発覚した事案です。警察と児童相談所での調査を経た後、家庭裁判所に送致された段階で家族から相談があり、受任しました。

解決への流れ

家庭裁判所に対して、少年に観護措置(鑑別所という場所に2~4週間収容されること)を取らないように要請しつつ、警察や児童相談所で作成された資料を確認し、家庭裁判所が問題として指摘する可能性の高い事情の調査を行いました。その調査の中で、被害児童及びその家族の処罰感情が高く調査官(家庭裁判所で少年事件の調査を行う専門の職員)が問題視していることが判明したため、被害児童の家族との示談交渉を行い、示談を成立させました。また、少年がまだ中学生で、性教育が不十分であり、性知識の不足が犯行に影響を与えている可能性があったため、弁護士から性教育を行いました。少年と家族に対して、定期的に行われる調査官の調査への対応方法を教え、調査官との面談を行って少年と家族に対する問題意識を共有し、審判によって少年が家族のもとから引き離されないように要請しました。結果、審判では保護観察処分となり、少年の施設収容を回避することができました。

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奥川 惠司 弁護士からのコメント

少年は犯行当時14歳未満だったので犯罪は成立しませんが、家庭裁判所の審判によって、親元から離されるような処分をされかねない状態でした。また、強制性交等罪(現不同意性交等罪)は非常に重い犯罪であり、児童相談所で一時保護(子どもの身柄を児童相談所に拘束されること)されていなかったことが不思議なほど、少年の身柄拘束が強く予見される状態でもありました。少年と被害児童は同級生であったため、少年が一時保護されることで、被害者の周囲に無用の波風を立たせてしまう可能性もありましたが、裁判所はそこまで深く事情を把握しきれていませんでした。受任後は、迅速に家庭裁判所に対して事情を説明し、被害児童のためにも少年に観護措置を取らないように説得した結果、少年が身柄拘束されることはありませんでした。また、少年と家族は、被害児童及びその家族に対して謝罪や被害弁償を行いたいという気持ちを強く持っていましたが、被害児童の家族から面会さえ拒否されている状況で、示談交渉が一切進んでいませんでした。弁護士がつくことで、被害児童の家族も示談交渉に応じて下さるようになり、また、話し合いを重ねる中で、当初要求されていた引っ越しや転校といった措置を取らずに示談を成立させることができました。更に、児童相談所で作成されていた資料には、少年に対する否定的な意見が非常に多岐に渡って記されており、調査官が最初から色眼鏡で少年を見ている状況でした。少年と家族に対して適切な助言を行い、児童相談所の資料ではなくありのままの少年を見るように調査官に働き掛けた結果、調査官も児童相談所の資料ではなく少年の話を聞いて信じてもらえることができました。このような弁護活動の結果、引っ越しや転校をしていない点が問題視されつつも、保護観察処分となり、施設収容を回避することができました。