この事例の依頼主
20代 女性
相談前の状況
交差点にて、右折待ちで停車していたところ、後方から進行してきた車両にほぼノーブレーキで衝突されたという交通事故の態様でした。事故から約5ヶ月の時点で、症状が根強く残っており、後遺障害のことが心配とのことでご相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
受任して間もなく保険会社から治療費の支払いの打ち切りの打診がありましたので、主治医に医療照会をして、それを根拠に治療期間の延長の交渉を致しました。最終的に約7ヶ月半の通院をしてから症状固定となりました。交通事故時の衝撃と比べて、修理費が30万円弱とそれほど大きな金額ではなく、物件事故で処理されていましたので、実況見分調書も存在しませんでした。また、途中で転院もされていたため、症状の連続性の部分でも懸念されるところでした。それでも最大限の手当をして、初回申請を行いましたが、残念ながら後遺障害非該当で返ってきてしまいました。ご本人は既に通院を止めてしまっていましたので、通院の継続による症状の立証は難しい状況にありました。そこで、外部の画像鑑定機関に画像鑑定の依頼を行いました。また、通院した病院の全ての医療記録を取り寄せて、詳細な分析を行いました。その上で、医療照会を行い、その結果を添付することと致しました。その結果、頚部痛、腰痛、各々に14級9号が認められ、併合14級と判断されました。最終的に、裁判基準額に相当する金360万円での解決となりました。
本件は、途中で転院をされていて、そこで、症状の一部について連続性が途切れてしまっているように見えたこと、物件事故で処理されている上に修理費も高額でないことから、後遺障害の認定は容易ではないと判断される状況でした。しかしながら、画像鑑定、医療記録の精査、医師への医療照会等を駆使することで、症状の連続と症状の根拠について丁寧に立証していきました。それにより、14級が認定されることとなりました。本件は、後遺障害等級14級が認定されるか、されないか、ギリギリの当落線上にあった事案ではないかと判断されます。後遺障害が認定される要件からそもそも外れている事案については、弁護士が何をしても認定されることはありません。しかし、当落線上にあるような事案では、弁護士がご本人の症状を正確に立証できるか否かで、結論に差が出てきます。症状固定までの間に、何度か転院されていると、転院後の病院で、医師が症状を書き漏らしてしまうことがあります。また、被害者の側でも、当然、前の病院から症状が伝わっているものと思い込んでしまい、転院後の病院で症状を正確に伝えないままになってしまうことがあります。転院をされていると、症状の一貫性の場面で、不利に扱われてしまうことがございます。転院後の後遺障害について、懸念がある場合には、当法律事務所の弁護士(札幌弁護士会所属)まで、お気軽にご相談下さい。