この事例の依頼主
女性
相談前の状況
離婚を前提に別居中だった奥様からの相談です。別居中に,子どもと夫の面会交流を行っていたところ,直近の面会交流において,夫が子どもを返さず,こちらで育てるなどと言って引き渡しませんでした。まだ未就学児のお子さんだったので,奥様はお子さんのことを大変心配されていました。
解決への流れ
早急に動く必要のあるケースだったため,その日のうちに事件をお受けし,翌日には子の引き渡し・子の監護者指定の審判,それぞれの仮処分の申立を行いました。同時に離婚の調停も行いました。別居中の監護状況が評価されたこと,夫が子どもを引き渡さなかったことに正当な理由がないことなどから,すぐに子の引き渡しの仮処分が下されました。ところが,それでも夫は子どもを引き渡さず,強制執行をするも従わず,最終的に人身保護請求手続という一般の方にはあまり馴染みのない手続まで行い,4か月後にようやく引き渡してもらうことができました。
この事件にかかり切りで対応していた時期もありましたし,弁護士として大変苦労しましたが,お子さんが帰って来てくれたときの奥様の安堵した表情を見て,すべて報われた思いでした。お子さんを巡る両親間の争いは,非常に繊細で,かつ,スピード感も要求されます。かなりの手間と時間がかかり,かつ,タイトな時間配分で動く必要があるため,それなりに費用をいただかないとお受けできない分野ではありますが,経験のある弁護士に依頼をいただくことが解決への近道になる分野であると思います。また,お子さんを巡って争って,果たしてどれぐらい勝ち目があるのかどうかを事前にお伝えし,方針を考えていただくことも有用です。子どもを巡る案件については,特に慎重に配慮して進めて行くよう,心がけています。