この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
相続人は、長女Aと次女B。被相続人(父親)は定年後、自宅を改造して、Bと共にフォトショップを開業したが、経営不振のため、5年ほどで閉店した。また、被相続人はBを受取人とする1500万円の生命保険に加入していた。Aは同店の開店は、離婚して被相続人と同居していたBの生活費を捻出するためであった、従って、上記生命保険金と被相続人が生前拠出した開店費用、経営資金約2000万円、合計3500万円はBの特別受益になると主張し、家庭裁判所に調停申立した。
解決への流れ
当方の依頼者はB。当方は生命保険金は遺産とはならず、受取人Bの固有の権利であること、金額が遺産総額の2割以下であるので、共同相続人間の公平を害することもないこと、フォトショップ開店は全て、被相続人名義で取引されており、Bはその従業員として給与を得ていたにすぎないことを主張、立証した。裁判所はこれを認め、Bの特別受益を否定し、法定相続分にて遺産分割することで調停成立した。
生命保険金が特別受益に該当しないことの立証は比較的容易であったが、フォトショップの開店、営業については、Bが店長として稼働していたこと、被相続人は同店の収益から、ほとんど収入を得ていなかったことから、Aの主張を覆すのに多少の苦労があったが、開店時のフランチャイズの親会社との契約書、機械のリース代金、インク代等の領収書の名義が全て被相続人名義であったことから、特別受益を否定することに成功した。