この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
とても優しそうで感じの良い夫婦。お子さんは先天的な肝機能障害により週2~3回の吐血や痙攣などの発作が起きるため,思うように働けないハンデがあるものの,明るく気丈に頑張ってきました。ご主人は約4000万円の住宅ローンを組んで(奥さんは連帯保証),住宅を購入しています。ご夫婦は小さなコンビニ店を営んでおり,当初は経営も安定していましたが,次第にライバルコンビニ店が周囲に乱立するようになり,売り上げが急激に落ちて行きました。あんなに明るかったご主人は思い悩んで鬱病を発症し,引きこもりになってしまい,お店もたたむことになりました。それでも奥さんはご主人と子供さんのために一生懸命働き,足りない分はカードローンを増やして,住宅ローンを返済してきましたが,次第に滞納が増えていき,住宅も手放さざるを得なくなりましたが,住宅売却後のオーバーローンが重くのしかかっていました。
解決への流れ
とても堅実でまじめなご夫婦でしたので,株式やFXなどの投資や,パチンコや競馬などの浪費もなく,免責不許可事由はありませんでした。また,特に大きな財産も無く,資産調査を行う必要性もありませんでした。本来であれば,現在お店を閉めていたとしても,過去に個人自営を営んでいたとすれば,破産管財人による調査が必要となります。しかし,申立前に申立代理人が適切に調査して,管財人の就任が不要であることを上申書で説明し,同時廃止による簡易な処理で解決することができました。
ご夫婦の人柄や,ご主人やお子さんの病状に鑑みると,個人自営を営んでいたからと言って破産管財人が就いて費用が大幅アップするのはあまりに可哀そうでした。でも,経験不足な弁護士や事務員さんが担当すると,安直に同時廃止で申し立てた後に,裁判所から破産管財人が就けられるケースが結構多いのです(東京地裁で同時廃止を希望して申立てた後に管財人が就くケースは年間平均約25%あるそうです)。そうすると管財人の報酬も含めてプラス20~30万円の出費となりますので大問題です。大きな事務所の派手な広告に釣られてしまわないように気を付ける必要があります。