犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き

事業用の建物賃貸借において、オーナーからの明渡請求に対し、適正な立退料の支払による経済的補償を条件として明渡することを合意、その後の移転先においては借入等の負担なく事業を再開することができた事例。

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仲宗根 朝洋 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人法律会計事務所さくらパートナーズ沖縄オフィス
所在地沖縄県 北谷町

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

弊社は、テナントを借りて十数年、小売業を営んできました。事業についても順調ないる上高等であったなか、新しく変わったテナントのオーナーが突如として「建物も老朽化していることから、次の契約更新はしない方針のため、期間満了月である年内に出て行ってくれ」などと言ってきました。弊社としては、同テナントでまだ事業を続けたいと思っておりますし、老朽化とはいっても最低でも5年は建物使用可能かと思っております。ただ、新オーナーがどうしてもというのであれば、きちんとした経済的補償となる金銭をいただいたうえで、テナントを明け渡すことは構わないと思っています。オーナーは、自分が建物の所有者であり、貸す貸さない自由があるなどとして強気な方でもあります。そこで、先生、新オーナーとの交渉をお願いできますでしょうか。

解決への流れ

そもそも、「オーナーが建物の所有者であり、貸す貸さない自由がある」とはいえ、一度、(普通)賃貸借契約を締結した場合には、オーナーが契約を終了させる理由として正当な事由がなければ、契約を終了させることはできず、借主は従前どおりテナントを借り続けることができます。さて、本件依頼を受けた弊所では、新オーナーに対して、①老朽化は単なる抽象的な理由に過ぎないこと、②正当な事由を満たすためには次の金額の立退料相当額を支払うことが必要であること、③立退料相当額として、移転に伴う実費相当額(内外装費用、引越費用、広告費など)、移転先で開業するまでの休業損害(利益相当分や家賃・従業員の給料等の固定費など)、移転先で事業開始後に固定客が戻るまでの期間相当額の営業損害、などを求めました。数ヵ月にわたる交渉の結果、新オーナーは、上記立退料相当額の8割を支払うことで合意、その後、相談者は、立退料相当額を原資としてスムーズに移転先での事業を開始することができました。

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仲宗根 朝洋 弁護士からのコメント

立退料相当額を算出するに際しては、事業の目的や内容、会計財務状況、移転に要する期間などを、実費を証明する見積書のみならず、確定申告書・決算書・試算表などの財務資料やその他の公的基準(公共用地の収用に伴う補償基準など)を踏まえながら、金額を算出するという過程を経ます。借家権価格を求める場合には、不動産鑑定士による専門鑑定が必要になる場合にもあります。今回のケースでは、相談者が速やかに相談し依頼をしていただけたこと、かつ、適切な資料収集に協力をしてくれたこともあり、柔軟な解決をすることができました。