この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
依頼者様は、事業用賃貸物件の管理を行っている会社でした。今回、初めての大手会社との取引にあたり、相手方から提示された契約内容について、その内容の精査及び適切な契約条項のあり方について相談に来られました。依頼者様は、これまで、比較的小規模の会社等しか取引がなく、契約締結に際してトラブルもなかったため、非常に簡素な契約書しか作成してきませんでした。しかし、今回の取引先は、依頼者様に対する要求が多岐にわたり、契約書の内容も複雑であるため、自分では対処できないとのことでした。
解決への流れ
今回、相手方から提示されていた契約書の条項は、その大半が合理的なものであり、依頼者様にデメリットはありませんでした。そこで、私は、依頼者様に対して、それぞれの条項がどのような意味を持っているのか、どのような局面で意味を持ってくるのかなど、相手方がその契約書を作成した意図を丁寧に説明しました。一方、依頼者様にとってデメリットになりそうな条項については、相手方が納得しやすい形で条項を作り替えるよう努めました。その結果、無事、依頼者様は相手方と契約締結に至ることができました。
中小企業にとって、経営上のリスクの顕在化は、会社の存続に関わります。そのため、問題が生じないように努める予防法務は、非常に重要です。法律に明るい優秀な従業員を新規雇用するのに比べ、顧問弁護士という選択肢は、リスクは低いものの、得られるメリットは大きいと思います。本事例は、契約書の作成という取引の入り口の問題ですが、この段階で適切に対処することで、新規顧客を獲得することができました。また、契約締結後の問題、リスクの顕在化を防ぐこともできました。煩わしい法的な判断は弁護士に任せ、事業に専念していただければ幸いです。