この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
依頼者は生活費の不足分や子どもの学費のために借入がかさみ、月々の住宅ローンの支払もあるためこれ以上の借入ができず、何とか住宅だけは残して借金を整理したいと相談に来られました。相談の時点では住宅ローンが2000万円近くあり、それ以外の借金の合計は900万円近くあったため、収入を考慮すると任意整理では借金整理が困難な状況でした。
解決への流れ
当初より個人再生手続を選択することとして各債権者に通知をするとともに、住宅ローン会社には住宅ローンの支払いを継続し、速やかに裁判所に申立てを行いました。当初は弁済期間を3年間で計画しましたが、夫婦の収入や進学後の子どもの学費負担等を考慮し、5年間に延長して再生計画を作成しなおしました。月々の収入の中から裁判所の指示による積立額を積み立て、奨学金の受給等による学費負担の見通しを詳細に裁判所に説明しました。その結果、裁判所も5年間の弁済による再生計画を認め、借金の支払を大幅に減額しながら自宅を残すことに成功しました。
「家だけは何とか残したい」 そのために借金を抱える方の最後の選択肢として個人再生手続があります。個人再生手続において、住宅ローン特則を利用することで、住宅ローンだけは今まで通りに支払いをしつつ、それ以外の借金を大幅に減額して生活の再建を果たすことが可能になります。しかし、減額するとはいえ借金を支払う手続きであり、住宅ローンは減額されないのが原則であるため、裁判所は「きちんと継続して計画通りの支払が可能か」厳しく調査します。収入が不安定であったり、家計の支出の見通しが甘かったり、裁判所の指示する月々の試験積立額の積立ができない場合には、計画が認可されずに終わることもあります。今回は、依頼者が生活費の中で不要な項目を見直したり、子どもの進学に伴う学費の見とおしを奨学金その他利用できる制度をふまえて詳細に検討し直した結果、弁済期間を通常の3年間ではなく5年間に延長すれば何とか支払が可能であると裁判所も判断し、再生計画が認められるに至りました。住宅ローンを支払いながら個人再生ができるかどうかは、高度な判断を要します。まずは経験のある弁護士に相談することが必須でしょう。