この事例の依頼主
40代 女性
結婚当初から、夫は、相談者(妻)に何の相談もなく、仕事を辞めては、転職を繰り返していました。しかし、相談者は、自らがバイトで稼いだお金や両親から借りたお金を生活費に充てて、婚姻関係を維持するため懸命に頑張っていました。しかし、ある日、夫が寝言で女性の名前を呼んだのをきっかけに、浮気を疑うようになりました。そして、浮気をしていないのかについて夫を問い詰めたところ、これを否定したものの、それ以降、明らかに夫の態度が悪くなり、夫婦関係がギクシャクするようになりました。そんなところに、相談者自身が交通事故に遭ってしまい、身体が動きづらくなったために、働くのも辛くなりました。それにもかかわらず、夫は、相談者を支えることもなく、定職にも就かずに毎晩のように飲み歩いていました。かかる交通事故をきっかけに、相談者と夫の関係はますます悪化していき、離婚の話も出るようになりました。そこで、当事者同士で、離婚の条件について協議をしようとしたものの、夫は、相談者が交通事故に遭って、得た慰謝料の半額を財産分与として請求してくるなど、これまで自らが生活費をほとんど入れず、浪費してきたことを無視した条件を主張したため、相談者がこれに反対したところ、暴力を振るわれたり、窓から布団を投げ捨てられたりするという事態にまで発展し、合意には至らず、ご相談にいらっしゃいました。また、相談者は、自らの両親が夫に対して貸し付けたお金についても、返済してほしいとの希望を持っておられました。
離婚については調停を申し立て、貸し金については、相談者が両親から債権を譲渡してもらい、訴訟を提起しました。まず、貸金返還を求める訴訟においては、契約書等の書面は一切なかったものの、通帳の取引履歴等を証拠として主張を組み立て、相手方が分割であれば弁済するとの意向を示したため、和解が成立しました。次に、離婚調停については、相手方が、浮気を否定し、金銭の要求ばかりを繰り返してきたため、話がまとまらず、不成立におわってしまいました。そこで、不貞行為等を理由として、離婚と慰謝料を請求する訴訟を提起することにしました。その際、共有財産の大半を相談者が保有していることが想定されたため、財産分与は求めませんでした。夫は、一環して浮気や暴力について否定していましたが、浮気相手とのメールや痣の写真等によって、相談者の主張を裁判官に認めてもらいました。しかし、夫は、慰謝料について一切支払わないばかりか、和解した貸金についてすら一切返済しませんでした。そこで、夫の財産について調査を行い、差押えを行い、債権の一部を回収することができました。
夫が、期日に出頭したり、しなかったりということを繰り返したため、解決までに必要以上に時間がかかってしまいました。しかも、和解をしたり、判決が出ても、これに従わないという態度であったため、強制執行までせざるをなくなってしまい、相談者には無用な精神的・経済的負担がかかってしまいましたが、最終的には、相談者の希望する解決をすることができました。相手方が、裁判所の指導にも従わないというような場合でも、粘り強く対応することで、司法制度によって正当な権利を実現することが可能なのだと強く感じた事件です。