犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

公正証書遺言によって遺産を全く相続できなかった相続人が、弁護士を代理人として遺留分減殺請求を行った結果、十分に納得のできる遺産を相続することができた事案

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片山 賢志 弁護士が解決
所属事務所川崎法律事務所
所在地奈良県 奈良市

この事例の依頼主

女性

相談前の状況

ご依頼者のAさんは、お父さんであるXさんがお亡くなりになった後、約2年の間、遺産分割や相続の手続をしていませんでした。なお、Xさんの相続人は、Aさんと、Aさんの弟のBさんの2人だけでした。Xさんの遺産は土地建物だけであり、Aさんは、土地建物の登記名義はXさんのままであると思っていました。ところが、Aさんは、ある日、土地上の建物の取り壊しが始まっていることに気付き、びっくりしてBさんに問い合わせたところ、「土地を更地にして売却するつもりだ。姉さん(Aさん)に権利はない。」とのことでした。どうして良いか分からないAさんはご相談に来られました。

解決への流れ

Aさんから依頼を受けた担当弁護士は、Xさんが公正証書遺言を残していた可能性があると考え、公正証書遺言の有無について調査を行うとともに、土地建物の登記簿謄本を取り寄せました。その結果、Xさんは、「全ての遺産をBさんに相続させる。」という公正証書遺言を残しており、Bさんは公正証書遺言を使って土地建物の相続登記も完了していることが分かりました。このような事案では、Aさんは遺留分という権利(Aさんの場合、遺産の4分の1を相続する権利)を有しており、この権利を行使することで遺産を相続することができます(これを「遺留分減殺請求」といいます。)。担当弁護士は、Bさんが土地を売却してしまうと問題解決が遅れると考え、速やかにBさんに対して内容証明郵便による遺留分減殺請求を行うとともに、土地をBさんが勝手に売却してしまわないように土地処分禁止の仮処分(土地の売却を一時的にできなくする裁判所の命令)を裁判所に申し立て、同仮処分命令を取得しました。Bさんとの交渉では、土地値の評価(Aさんの主張は3200万円、Bさんの主張は2400万円)が争点となりましたが、土地の売却を急ぐ必要のあったBさんは、土地処分禁止の仮処分の取下げを強く望んだので、担当弁護士は有利に交渉を進めることができました。その結果、Bさんは、Aさんが主張する土地値3200万円を認め、その4分の1である800万円をAさんに支払う形で和解が成立し、Aさんとしては納得のできる解決を得ることができました。

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片山 賢志 弁護士からのコメント

典型的な遺留分減殺請求の事案です。自筆証書遺言や公正証書遺言の内容が、遺産を一部の相続人だけに相続させる内容になっている場合、遺産を貰えなかった相続人には遺留分という権利があります。遺留分とは、簡単に説明すると、遺言によっても侵害することのできない相続分のことであり、本事案の場合、Aさんには、遺留分として遺産の4分の1を相続する権利がありました。遺言によって侵害された遺留分を主張していくためには、遺留分を侵害する遺言の存在を知った時から1年以内に遺留分減殺請求という手続を行う必要があります。遺留分減殺請求をした後も、問題を解決するためには、遺産の範囲をめぐる争い、遺産の評価をめぐる争い、具体的にどのような形で遺留分を実現するかという問題(現物で取得するのか、または代償金で取得するのかという問題)など様々な問題があり、場合によっては調停や訴訟などの法的手続が必要となり、問題解決に時間を要することもあります。本事案では、担当弁護士が、Bさんが土地売却を急いでいるという事情に着目し、遺留分減殺請求だけでなく、迅速に土地処分禁止の仮処分を申し立てることにより、有利に交渉を進めて事案を解決することに成功しました。このように遺留分に関する交渉は、様々な法律上の問題点が絡み、法的手続に関する専門的知識を要するほか、交渉を有利にすすめるための経験やノウハウが重要となりますので、実績のある弁護士に相談されることを強くお勧めします。