この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
依頼者には二人の子がおり,長女は結婚して家を出ているが,二女は重度の知的障害者で常時他者の介助が必要な状態である。依頼者としては,自ら二女の面倒を見れなくなった後に二女が生活していけるかどうかが心配である。長女には別の家庭があるため,二女の介助の負担をかけたくない。施設に入所させるとしても,本人に代わって財産管理をしてくれる人が必要だが,頼める人がいない。
解決への流れ
①複数後見人の選任予め依頼者と専門職後見人を選任しておき,万が一,依頼者が死亡した場合でも,専門職後見人が二女の財産管理を継続していける体制を整えました。②遺言書作成遺言書を作成し,母親死亡後の二女の生活保障のため,賃貸アパートと現金を二女に相続させることとしました。
身内に障がいをお持ちの方がいらっしゃる場合には,親族による介助が困難となった場合に備えて,成年後見人を選任したり,遺言書を作成しておくなどして,事前の準備対策をしておくことが不可欠となります。なお,障害者自身は,自ら,遺産分割協議を行う判断能力がないことが多いため,遺言書がなく,成年後見人も選任されていない場合には,裁判所で特別代理人を選任してもらう手続が必要な場合があります。遺産の評価額が大きく,また,賃貸物件等,相続後も管理行為が必要な資産がある場合には,遺言書の作成が不可欠と考えます。