犯罪・刑事事件の解決事例
#ぼったくり被害

ホストクラブからの不当請求

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大槻 厚志 弁護士が解決
所属事務所県民合同法律会計事務所
所在地千葉県 千葉市中央区

この事例の依頼主

女性

相談前の状況

(1)相談者は、千葉市在住の女性でした。友人に誘われて、一度、新宿のホストクラブに行ったところ、好みのタイプのホストがいたことから、その後、頻繁にその店に行くようになりました。(2)ホストは、相談者に了解もなく、一方的に高級なシャンパンを注文したりして、一晩の料金が200万円を超えることもありました。当然、手持ちの現金数万円の支払いだけでは足りず、あとは売掛ということで、相談者は店に通っていました。(3)この間、店に行かないと、会社にまで電話がかかってきたり、会社に迎えに行くと言われ、無理矢理、店に行かなければならないこともありました。しかし、そのようなことは長く続くはずもなく、相談者が店に行かなくなると、総支配人と名乗る人物が実家にまで押しかけ、「800万円が未払になっている。但し、一括で200万円を支払うなら、全部を清算する」「念書を書いてほしい」等と言ってきました。その際、父親は総支配人から、この間の相談者の店での飲食についての日々の計算書を渡されていました。それを額面どおり計算すれば、1000万円を超えており、約200万円は本人が支払ったものの、800万円が未払となっているということでした。(4)そのようなことから、相談者は、父親とともに県民合同法律会計事務所に相談に来られました。

解決への流れ

(1)店側が根拠として示してきた計算書について、1枚1枚、相談者と検討し、相談者が注文していないにもかかわらず計算書に記載されているものについては除外しました。また、その時点で、店の飲み代の請求は1年で時効にかかることから、1年以上前の金額についても除外しました。(2)その上で、認めるもの、認めないものの一覧表を日付け毎に作成し、残った25万円については認めるものの、その他については認めないとして、店を経営する会社に通知を、相談者の代理人弁護士として送付しました。その際、25万円を支払うという当方からの提案を了承するか、了承できないかを確認する「回答書」も付けて送付しています。(3)なお、これと入れ違いに、相手方からは、この間の総飲食代、相談者の支払額、その残額800万円としたうえ、解決金200万円との提案がなされました。(4)そのため、再度、当方は、「25万円であれば支払うが、それ以上は支払うつもりはない」との書面を送付したうえ、私が相手方の会社に連絡して、相手方の意向を確認しました。相手方の代表者と思われる人物は、電話口で「25万円などというはした金で解決など出来ない」「裁判で800万円を請求する」とけんか腰で述べていました。私は、裁判をするならば受けて立つと宣告しました。(5)その後、私の方も、当然、裁判を起こされるものとして待っていましたが、6ヶ月以上経ったにもかかわらず、何ら裁判手続等は行われませんでした。(6)もともと、お店の飲み代などは、民法第174条で、1年で時効消滅すると規定されています。但し、その時効は、内容証明郵便等で催告すれば、6ヶ月間延ばすことができ、相手方はその間に正式な裁判手続をとることにより、時効を中断することが出来ます。(7)しかし、本件では、既に最後にお店に行った時から1年を経過しており、また、相手方から内容証明郵便で催告を受けてからも6ヶ月以上経過しました。そのため、最終的に次のような内容の書面を送り、本件飲み代の請求権を消滅させました。「しかし、その後、貴社らからは、現在に至るまで、1年間権利行使がなく、また、前記書面による催告も、既に6ヶ月を経過しているにもかかわらず、民法に定める手続がとられておらず、貴社らの通知人に対する請求権は、民法第174条4号により消滅しており、また、同法第153条の催告の効力も生じておりません。つきましては、通知人は、本書面をもって、民法第145条に基づき、貴社らの通知人に対する前記請求に対し、消滅時効を援用いたします。」

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大槻 厚志 弁護士からのコメント

その後、相談者は、ホストクラブには通っていません。この件で、ホストクラブによっては、請求が極めて杜撰であり、市場では1万円程度のシャンパンが160万円として計算されるという、とんでもない請求がなされる場合があることを改めて認識しました。どの様な事でも、相手方からの請求が「不当なのではないか?」と思う場合は、躊躇せずに一度、弁護士に相談してみてください。