この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
協議離婚に際し、当事務所では妻側の代理人となりました。離婚に加え、慰謝料や財産分与も請求していました。夫が近々勤務先を早期退職する予定であるという情報が得られましたが、このケースでは、夫に借金があったため、退職金が夫に支払われた場合、借金の返済に充てられてしまう可能性がありました。
解決への流れ
そこで、直ちに弁護士会照会制度を利用して退職金の詳細に関する調査を行いました。その結果、夫に支払われる退職金の額、支払時期などが判明しました。調査内容をもとに、裁判所に対して退職金債権の仮差押の申立をしました。原則は退職金の4分の1までの差し押さえしか認められないところ、裁判所に対し、差押の範囲を広げてもらうよう申立てを行い、退職金の半分にあたる金額までの仮差押を認めてもらいました。その結果、その後の離婚交渉を有利に進めることができました。
離婚にあたり、夫婦の一方が受け取る退職金が財産分与の対象となる場合があります。しかし、支給された退職金が借金の返済などに使われてしまったり、現金にして隠されてしまったりした場合、後に財産分与を認める判決を得ても、取り立てをすることが困難になってしまいます。このケースでは、早期に仮差押の申し立てをすることで、退職金を確保することができました。