この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
母は既に亡くなっていたところ、先日父が亡くなり、遺産としては、札幌と函館にそれぞれ不動産があり、預貯金もかなりあることがわかりました。函館で父と同居していた妹と札幌に住む私の2人が相続人だったのですが、妹は父と同居していた自分の方が遺産の取り分が多くなるべきだと強硬に主張してきました。私も妹が父の預貯金を自分のために使っているのではないかという疑いをもっていたので、完全に喧嘩になってしまい、どうにもならなくなってしまいました。
解決への流れ
弁護士さんに私の代理人になってもらい、家庭裁判所で遺産分割調停を行いました。その結果、法律的には父と同居していただけでは妹の取り分が多くなるということにはならないということでしたし、妹に父の通帳を全部見せてもらうこともでき、妹が父の預貯金を自分のために使っていたという形跡もなかったので、私も妹も感情的にならず冷静に話し合うことができました。結局、札幌の不動産は私、函館の不動産は妹、預貯金は半分ずつ分けるという形で決着しました。
亡くなった方と同居していた相続人が自らの取り分を多く主張(いわゆる寄与分の主張です)するというのはよくある話です。しかし、単に同居して世話をしていたという程度では、寄与分が認められることはありません。また、本件は亡くなった方の預貯金を管理していた相続人が感情的になってしまい、通帳の開示に応じてくれないという事案でしたが、家庭裁判所の調停委員の説得もあり、最後には通帳の開示に応じてくれ、使い込みの事実もなさそうだということで依頼者も納得してくれました。これらの段階を経て、感情的な争いの種がなくなったことから、きわめて妥当な遺産分割が実現したという事案でした。