この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
4人兄弟で、両親と末の弟が亡くなり、その相続財産の分割について協議しましたが、各相続人が遠方に住んでいたこともあり、なかなか話し合いがまとまらず、10年近く分割ができませんでした。その間、両親の遺産であるマンション2棟等の不動産は両親と同居していた兄が管理していましたが、私と姉にはその賃料の行方などよく知らされていませんでした。
解決への流れ
約10年越しで、姉と一緒に、兄に対し、両親と末の弟の遺産分割調停を起こし、その中で相続開始後のマンション2棟等の賃料の行方に関して一定資料を提出してもらいました。そして、一旦調停は取り下げて、兄に対し、約10年間の不当利得返還訴訟を提起しました。一審判決では一定の管理料等は控除されたものの、法定相続分相当の返還が認められ、控訴審でも同様でした。これらの判決を踏まえて、再度申し立てた遺産分割調停では、私たちは法定相続分を越える取分での合意ができました。
遺産分割協議が遅れると、資料が散出したり、相続人が亡くなって新たな相続が発生したりして、スムーズな遺産分割協議が難しくなるケースもありますので、相当な時期に話し合いを持つ必要があります。もっとも、遺産分割協議が整っていない未分割の間であっても、賃料等は相続分に従って分配する必要があるのであり、これを怠って一部の相続人が独占していた場合には、適切な手続にて是正する必要があります。