犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き . #土地の境界線

裁判で土地の時効取得が認められた事案 長年占有してきた400㎡の土地のうちの150㎡部分が別筆で親族名義の土地であったが、時効取得が認められた事案

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西村 紀子 弁護士が解決
所属事務所横浜みなみ法律事務所
所在地神奈川県 横浜市戸塚区

この事例の依頼主

70代 男性

相談前の状況

40年以上自分の土地と信じて占有していた400㎡の土地のうちの150㎡が、別筆で、かつ、前名義人の母親の遺言で弟が所有権を取得し、相談者さんに対して、その土地部分にある建物を収去して土地を明け渡すように請求をしてきた、というご相談でした。

解決への流れ

当初は、遺留分減殺請求を主張した上で、遺留分としてその土地をもらうという相続の枠組みで解決することを考えて交渉を試みたのですが、請求できる遺留分は、生前に相談者に行われていた母親からの贈与の関係もあって土地の時価額にまでならず、また、現在の名義人である弟は時効取得を徹底して争ってきました。このため、時効取得を原因とする所有権移転登記を求める裁判を起こすことになりました。一般的によくある境界付近のわずかな部分の時効取得というケースとは異なり、150㎡というかなり広い土地についての時効取得の主張は、なかなか裁判所に理解してもらうのが難しく、特に、名義がなかったこともあって固定資産税を払っていなかったというところがネックになりました。ですが、相談者ご本人が、40年以上に亘り、自分の所有であると信じてきたことについては、従前の事実経過からそのように信じるのも当然と思われる根拠もありましたので、そのことを、細かい証拠も総動員して辛抱強く裁判所に伝えるように努めました。その結果、高等裁判所で、相談者さんの時効取得が成立する旨の勝訴判決を得ることができました。

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西村 紀子 弁護士からのコメント

時効取得において必要とされる所有の意思は、単に自分のものであると主観的に信じていたというだけでは認められず、客観的な事実から判断されます。不動産では一般的に時効取得者が固定資産税の納付を行っていることがポイントなのですが、本件ではそれがなかったので、それ以外の、客観を裏付ける証拠となる事実を少しでも多く集めることが必須でした。この裁判は長い時間がかかりましたが、その間、相談者の方も辛抱強く対応し、そのため、弁護士としても、相談者さんの認識については確信していましたので、それを裏付けられる証拠となるものを得るために、特に公の書類を徹底して集めて検討しました。そのような作業が奏功し、ご相談者さんに納得のいく結論を得られたことは、弁護士としてもとても嬉しい経験でした。