この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
依頼者は、飲食店の店長として、少ない従業員たちと、週休1日で毎日深夜まで働き続けていましたが、残業代が一切出ていませんでした。その飲食店にはタイムカードや(勤務時間帯が記載された)勤務シフトはありませんでした。残業の証拠は、出勤簿、予約表、週1回くらいオーナーに送っている売上等の報告ラインのみでした。
解決への流れ
出勤簿には勤務時間帯が記載されておらず、日々の残業時間を直接証明できる証拠はありませんでした。そのため、相手方は、当方の残業代請求に対して、当初、強気な姿勢でした。そこで、店の営業時間、出勤している従業員数、予約数、業務内容等から残業時間を綿密に推定し、労働審判を申し立てました。その結果、裁判官は、当方の推定計算に理解を示し、請求額の約3分の2にあたる250万円での和解が成立しました。
1日8時間、週40時間を超えて働いた場合、超過した時間分の残業代を請求することができます。ただ、労働者側が残業時間を証明しなければなりません。この点、タイムカード、勤務日報、メールの送受信履歴、PCのログ、入退館記録、タコグラフ、運転日報、勤務シフト表等があれば、残業したことを難なく証明できます。ただ、現実には、このような残業の資料が乏しいケースも多々あります。そのようなケースでもこの事例のように、工夫次第で残業代を請求することができます。「残業しているけど確たる証拠がない・・・」とお悩みの方でも、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。