この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
ご相談者は、近距離ルートを回るドライバーとして、1日11時間、週休1日で勤務していましたが、残業代は一切出ていませんでした。ところが、ある時から、会社は、給料の総額は変えずに、手当の額を削って、削った分を「残業手当」と給与明細書に記載するようになりました。ご相談者は、退職後に、残業代が支給されなかったことに不満を持ち、ご相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
相手方は、当方からの残業代請求を無視し続け、タコグラフや運転日報の開示にすら応じませんでした。そこで、早々に労働審判を申し立て、相手方にタコグラフ等を開示させ、残業代を再計算しました。これに対し、相手方は、労働審判において、「残業手当」という名称の手当を払っているから、残業代の未払いはないと主張しました。当方が、既存の手当を削って、その分を残業代扱いにすることは労働条件の不利益変更であって認められないと主張したところ、裁判官は、当方の主張を認めてくれました。その結果、相手方が請求金額の8割超にあたる400万円を支払内容の和解が成立しました。
近年、残業代の支払いを逃れるために、手当てを削って、その分を残業代名目に変更するという事案が散見されるようになりました。もっとも、このような変更は、労働者に十分に説明した上で、その同意を得たような場合でないと認められません。このように、たとえ給与明細書等をいじられ、残業代が支払い済みであるように偽装されたとしても、残業代を請求できる可能性があります。まずは、お気軽にご相談ください。