この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
建物の一室を貸していたが、家賃滞納が断続的に続いていた。継続的に住んでもらいたいと考えていたが、賃借人との連絡がなかなかつかないうちに、次第に滞納家賃の合計額も大きな額になってしまった。
解決への流れ
ご依頼後に賃借人と連絡を取ると、滞納家賃も将来的な賃料についても安定的に払うのは難しい状況であるということが判明しました。また、連帯保証人に連絡を取りましたが、「連帯保証人になった覚えはない」という回答がありました。このため、訴訟を行わざるを得ないという判断となり、滞納家賃の催告及び解除の通知を入れたうえで、建物の明渡しと滞納家賃について請求する訴訟を提起しました。訴訟では、建物の明渡しと賃借人及び連帯保証人に対する滞納家賃の請求がいずれも認められました。判決後は、賃借人が自主的に退去していただけなかったことから、建物明渡しの強制執行手続きを申立てました。しかしその後も継続して賃借人と連絡を取り、説得を続けたところ、手続きの最終段階前に強制執行手続きによらずに退去していただくことができました。また、滞納家賃についても連帯保証人からお支払いいただけることになりました。
判決をもとに建物明渡しの強制執行をすることはできるのですが、強制執行を最終段階(断行)まで行う場合には、荷物の運び出し作業や運び出した物品の一定期間の保管のために数十万円の費用がかかります。これらの執行にともなう費用は、最終的には賃借人が負担することが原則ではあるのですが、まずは、賃貸人側で負担しなければならないうえ、後に賃借人に対して請求しても、賃料を滞納している賃借人は資力に乏しく、回収することが困難なケースが多くあります。このため、強制執行を申立てつつも、強制執行手続きによらずに退去していただくよう働きかけることが大切です。