この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
依頼者は,不貞相手の配偶者から巨額の慰謝料を請求されていました。依頼者は,性交渉をもった事実は認めるものの,不貞相手が「配偶者との婚姻関係がすでに破綻(はたん)しており,夫婦の実態がない」と説明していたからであって,あえて不貞で夫婦関係を破壊しようとしたのではないというお話しでした。
解決への流れ
訴訟の中で,依頼者には婚姻関係を破綻させる意思はなく,また,不貞相手夫妻はすでに婚姻関係が破綻していたのであるから,依頼者の不貞によって損害を受けていないという主張を行いました。これにより,依頼者は大きな損害賠償金を支払うことなく,訴訟を終結させることができました。請求額の2割以下で和解した事例もありますし,不貞相手に対する反対請求が可能な事案で相殺を主張してまったく支払いをしなかった事例(不貞された妻からの請求と,不貞相手である夫へのこちらの請求を帳消しにするもの)もあります。
不法行為の成立(損害賠償請求が認められること)には,①不貞行為という権利侵害行為の存在だけではなく,②それが不貞行為であると分かっていたか(故意),ふつうであれば不貞であると分かるのに気づかなかったか(過失)という認識を要します。また,③不貞相手の夫妻の婚姻関係が法的保護に値するものでもなければ損害が生じないので,夫婦関係がもともと破綻していた場合,これが認められなくなります。②がないとか③の破綻していたとかという主張が容易に認められるわけではないものの,これを主張する過程で相手方の落ち度や過失が明らかになる等して,依頼者に有利な和解ができた事例は多数存在します。