この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
依頼者は,勤務先(中規模の会社)において早朝から深夜までの労働を求められてこれに応え続けた結果,不調を発症して働けなくなっておられました。このため,勤務先がこのような状態を知りつつ職場環境を整えずに加重労働をさせた責任をとらせることを希望しておられました。
解決への流れ
依頼者のお持ちくださった勤務時間を示す資料等から勤務実態を明らかにし,労働審判を申立てました。労働審判は,簡易・迅速に労働紛争を解決する手続で,両当事者の言い分を聞いて話し合いによる解決(和解)を勧められる傾向にあります。この事件でも,当方の主張を明らかにしたうえで,依頼者に納得いただけると落としどころで和解して,損害に見合った補償を受けました。
勤務先は,労働紛争が起こると,勤務先や雇用主の責任を否定するために,勤務先に勤務する従業員(依頼者からすれば同僚)からも供述を集め,自分たちは悪くない,悪いのはその労働者(依頼者)であると主張する傾向にあります。これは依頼者にとって,自分の積み上げたものを否定されたり,信頼していた同僚に裏切られたりする思いを感じさせる過酷な状況と言えます。このため,申立前に,相手方が反論してもこちらの主張が事実であると強く貫くための準備を要します。労働審判は簡易・迅速な手続ながら,これを起こして主張を貫くには周到な準備を要するのです。依頼者に寄り添ってそのような準備を丁寧にする弁護が良い結果をもたらすと考えています。