この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
最近私はオーストラリア在住の男性(C男さん60歳)から、やはりメールで依頼を受けました。C男さんは、若い頃からオーストラリアに移住して、両親とは不仲ではありませんが、連絡も途絶えがちで30年経ちました。この間、弟のD男さんが両親と同居して仕事も伝っていました。父は15年前に死亡して、今回母が死亡しました。
解決への流れ
母が亡くなって相続人はC男さんと弟D男さんの2人です。D男さんに全部相続させるとの遺言がありました。私はC男さんの特別の希望に応じて一筆を入れました。「もし遺産を受け取れなかった場合は、弁護士料は一切いただきません」と。つまり完全成功報酬制で遺留分減殺請求をしました。実費分15万円だけを預かって、着手金、成功報酬ともに現実に遺産を受け取った後、これに弁護士報酬基準を充てて計算することとしました。遺産はアパート1棟7,000万円くらいと、預貯金4,000万円くらいです。当方から遺留分減殺通知をしたところ、D男さん代理人弁護士から、C男さんが生前贈与を受けていたため遺留分はなしとする調停が起こされました。調停にはD男さんも出てきて、兄は勝手に家を離れてアメリカで自由に生きた。その間、弟の自分は両親の面倒を見て、家業も継いでどれほど苦労したかを力説します。調停を重ねても全く譲ろうとしません。ところが、調査する内にD男さんが生前に母からもう一つの貸室不動産5,000万円くらいを格安で買い受けていることが判明したので、これを追及して譲歩を引き出し、結局C男さんは遺留分として約2,000万円を受け取って完了しました。
C男さんはシドニーで事業に失敗して厳しい生活状況だったため、とても喜ばれました。(丁度円高の時期だったために特に有利でした)。