この事例の依頼主
女性
相談前の状況
夫の不貞により離婚を希望されている妻からの相談です。学齢期のお子様が数名居り、お子様名義の学資用の積立預金や、学資保険がご夫婦の財産額の大部分を占めていました。相談者の希望は、以下のようなものでした。① 離婚をしたい② 不貞慰謝料を請求したい③ 正当な財産分与を請求したい④ 親権・監護権を取りたい、養育費を請求したい⑤ お子様名義の預金や学資保険の管理をしたい
解決への流れ
交渉では、養育費の額や、お子様のために貯めた財産の分け方(管理)が問題となりました。原則として、結婚後の蓄財は、お互い2分の1ずつになるように分け合うのが財産分与の方法であり、お子様のための蓄財であっても同じです。しかし、本件ではお子様の学資名目の資金・保険がかなり存在したため、通常の財産分与の清算をすると、妻側がお子様名義の預金や保険を管理する代わりに夫側に相当な額の精算金を支払わなければならなくなり、妻側の経済的負担が大きくなってしまいます。本件においても、夫側からはお子様のための蓄財も通常の財産分与の方法として清算を求められました。交渉においては、あくまで夫側の不貞・有責による離婚であることを強調し、ある程度の長期戦となることを覚悟して粘り強くやり取りをしていきました。書面での交渉から離婚調停に移る中、最終的には、夫側は、妻側の主張する財産分与の水準を一部認めました。具体的には、妻がお子様のための財産を全て管理すること、妻と子どもたちの住む自宅を夫が妻に譲渡すること、妻から夫への精算金の支払は行わないというものでした。通常の夫婦均等の財産分与額や不貞による慰謝料額の水準を考えても大幅に有利な経済的条件で離婚をすることができました。
離婚では親権の他、財産分与などの金銭条件が問題となります。個別の事情に応じて有利に交渉を進めることができた事案でした。