この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
40代会社員。所得は十分ありましたが,もともと浪費的傾向があったほか,前妻との離婚の際に約束した養育費の負担が大きく,借金が始まったそうです。再婚した奥さんが家計をやりくりしてくれるのを横目で見ながら,債務者自身は浪費を抑えることができず,こっそり借金して小遣いを捻出していました。しかも,その後,住宅を購入したため,借金の解消はなおさら難しくなったようです。債権者から届いた督促状を家族が発見して借金が発覚しました。借金を調べると,住宅ローンを含めた毎月の返済額は30万円を超えており,返済の目途が立ちませんでした。債務者ご本人で,福岡簡易裁判所に対して特定調停を申し立てたものの,調停委員から,調停での解決は難しいとのアドバイスを受けて弁護士相談に至りました。住宅ローン残3100万円(住宅購入4年目),その他の負債約800万円でした。
解決への流れ
住宅資金特別条項付き小規模個人再生を選択。弁済計画案は,住宅ローンを当初約定どおりに返済し,その他の負債は総額の5分の1にあたる約160万円を3年間で弁済する内容の返済計画を立てました。別れた奥さんへの養育費の送金も約束どおり続ける計画です。再生計画認可決定。
浪費が度を過ぎると,免責不許可になるリスクが生じる分,破産の選択が難しくなります。本件は,ほかに住宅ローン債務があったので,迷わず小規模個人再生を選択しました。もっとも,住宅ローンを組んで間もない時期に破たんしたときは,残る長期間,完済を目指してローンの返済を続けるのがいいか,住宅を一旦断念するのがいいか,慎重に検討する必要があります。住宅ローンに縛られて再度破たんする可能性もあるからです。浪費とギャンブルは,免責を認めない例として破産法に明示されていますから(破産法252条1項4号),身に覚えがある方は破産を躊躇するかもしれません。一般論としては,免責を許可するか否かについて,裁判所は,基本的には債務者を助ける方向で考えてくれますから,それほど神経質になる必要もないと思います。しかし,ギャンブルに関しては裁判例も分かれているため,弁護士とよく相談するべきです。そして,免責許可を得られそうになければ他の方法を選択するのが賢明です。なお,養育費は,非減免債権といって,再生手続によっても減免されない債権ですが,本件では以前と変わらない金額の送金を続けることができたようです。