この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
過去に,既に2度の破産を経験しており,しかも2度目の破産からようやく7年経った女性です。行き詰まった原因は前回の破産と同じく,博多の中洲での飲食店の経営に失敗したもので,前回の弁護士からは受任を断られていました。債権者の中に,同じ中洲の飲食店経営者で,10日で1割の金利で貸付をしている無登録の,要するにヤミ金がおり,これが気になりました。破産手続に乗せて管財人が付いても債権調査までいく事案ではないので,結局うやむやになって手続終了後に揉める可能性があるので,それよりは個人再生の債権確定手続中で白黒を付ける方が良さそうに思えました。
解決への流れ
ご本人が,お金は夜稼ぐものと思い込んでいるので,昼間の仕事にも就いてもらうまでに時間が掛かりました。給料の額は多くなくても安定した金額を受け取れる見込みが付いたところで個人再生申立。個人再生委員が選任されました。ヤミ金からの届出もありましたが,争う姿勢を見せたところで引き下がりました。なぜか利息制限法に違反していない借り入れもあり,その部分が認められると返済計画が怪しくなる可能性があったので,安心しました。ヤミ金がいなくなったことで再生委員も安心したのか,以後はスムーズに手続が進み,再生計画も認可されました。
2度の破産の経験がある方のご相談を受けたのはこの1件だけです。確かに相談を受けて腰が引けました。破たんを来さないように計画的に生活する習慣を付けてもらう必要があるのでしょうが,当のご本人にはそういう意識は希薄だったのかも知れません。再生計画案を認めてもらうために定期収入を確保して欲しいので,夜だけでなく昼の仕事にも就いて欲しいと繰り返し伝えたものの,ご自身の年齢のせいで,次第に夜の仕事がお金にならなくなっている事実に気付かず,昼間働く必要を理解してもらうのに時間が掛かりました。なお,ヤミ金からの借り入れは,破産法251条1項2号の免責不許可事由に該当するとされています。裁判所がどの程度本気でこのように考えているかは分かりませんが,このリスクを回避する必要があるなら,ヤミ金との取引が気になる人は,破産ではなく個人再生を選択することになるでしょう。