この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
依頼主の夫が死亡して相続手続を行おうとしたところ、夫の父親の相続手続が完了しておらず、その手続も必要になった事案でした。夫の父親名義の不動産の名義変更等の手続きも必要になり、相続人が10数名にのぼり、1名を除いて全員が県外に居住しているという事案でした。依頼主は、面識のない夫の兄弟がいることは知っていましたが、現在存命がどうかも不明で、住所も知らないということで、その調査も含めて、当事務所に相談に来られました。
解決への流れ
まず、相続人の調査を行い、相続人が10数名で、住所地が全国各地に散らばっていることが分かりました。個別に交渉して遺産分割を行うことは困難であると考え、遺産分割調停を申し立てることにしました。被相続人及びその父親の財産は不動産の他にはほとんど無く、法定相続分に従った1人当たりの持分は少なく、その価額も低いものでした。そこで、調停の中で大多数の相続人からは相続分を依頼主に譲渡してもらいました。すんなりと相続分を譲渡してもらえなかった相続人が1人だけいましたが、代償金を払うことで最終的には持分を譲渡してもらい、調停が成立しました。
相続人が少なく、かつ、異議をとなえる者もいないと予想される場合には、全員で話し合って遺産分割協議書を作成することにしています。しかし、相続人が多数で、かつ、近隣に住んでいないという場合には、話し合いでまとまらないことを予想して、相続人調査、財産調査の完了後に、最初から家庭裁判所に調停を申し立てることもあります。本事例は、まさにその場合でしたが、話し合いにするか最初から調停にするかは、被相続人と相続人の日頃の関係なども考えて決めています。問題となっているケースではどうするのが適当か、これまでの経験からより適切なアドバイスをすることができると考えております。