この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
相手方(夫)は以前に会社を経営しており、相当額の財産を有していると思われた。離婚の協議をする中で、相手方は、財産の内容を明らかにすることなく、依頼者に500万円を支払う内容の合意書面に署名するよう強引に求めてきた。依頼者は、当時、心理的に不安定な状態の中でそれに署名したが、合意に納得できなかったため、離婚届には署名せず、当職に相談した。
解決への流れ
示談交渉を行い、財産分与の合意が無効であることを前提に、相手方に財産を明らかにするように求めたが、相手方が明らかにしなかったため、裁判手続における調査嘱託で相手方の財産を明らかにするとともに、合意が無効であることを確認した。最終的に、いったん合意した500万円の3倍以上の金額を取得した。
離婚協議の際に、財産給付について強引に書面への押印を求められ、それに応じてしまう場合があります。しかし、合意した際の状況次第では、その合意は無効ですので、それに従う必要はありません。財産分与においては、基本的には夫婦で形成した財産の半分を取得することが可能ですので、上記のような場合には、合意の有効性を争ったうえで、適正な金額の財産分与を受けられる場合があります。