犯罪・刑事事件の解決事例
#モラハラ . #婚姻費用 . #別居 . #養育費

【依頼者:妻】【婚姻費用・特別出費】モラハラ夫から逃げて婚姻費用と障害のある子どもの療養費としての特別出費を請求! こちらの請求通り大筋で合意させた事例

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松江 仁美 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人DREAM
所在地東京都 千代田区

この事例の依頼主

30代 女性

相談前の状況

夫からの言葉の暴力に耐えられず別居。子供は障害を負っており、通常の婚姻費用の請求に加えて、特別出費部分としての療養費の請求をしていく必要があった。夫側は年収が高いが、療養費の実態を理解せず、話し合いは難航。調停を申し立て、調停委員の協力を得て、特別出費としての療養費の実態を相手方に理解させることに努めた。

解決への流れ

【相談結果】特別出費としての療養費については、成長過程によって変動があるものの平均値を出すなどして工夫し、調停委員会の取りなしもあり、ある程度のところで妥協点を見いだすことができた。ところが、夫側の年収を確定していく作業の中で、夫側では、給与所得として主張されていたが、ほとんど夫自身が100%株式を所有し、ワンマン経営をしている会社からの給与であることを立証する事ができた。もともと、夫側が仕事の実態を妻に全く隠しており、妻側では全く実態を知らなかったのであるが、前の勤務会社を辞めたいきさつ、その後のWEBなどの記事等を集めた結果、自信が主軸になって会社経営をしているのでは無いかという疑いが濃くなり、会社の謄本を取得して提出し、粘り強く法人の確定申告書の提出を要求した結果、申告書の開示により、100%株主であることが判明。そうなってくると、裁判所としても、判例タイムズの表を給与所得者では無く、自営業者のラインで見て行く方が妥当では無いかとの指導をしてくれるようになった。すると、妻側が要求していた必要生活費と療養費の支出の合計額を遙かに超える婚姻費用が妥当ラインとして浮かび上がり、それに、立証に努めてきた特別出費としての療養費を合算すると、相当程度高額の婚姻費用を支払うことを夫側も余儀なくされ、合意が成立した。【解決期間】約15ヶ月【解決のポイント】夫側は、通常の常識よりも高額な婚姻費用を払っていると言って全く当方の言い分を聞かなかったが、高額の特別療養費については、例え婚姻費用が高額であっても、通常の婚姻費用概念には含まれないものであることを主張し続けた。例えば、風邪を引いたりした場合の医療費や、通常の習い事をするための費用は婚姻費用に含まれるが、障害児であるための医療費や、障害児が健常児と一緒に学習できるような力をつけるためのトレーニング費用などは単なる習いごととは違うのである。調停委員会もだんだんと事情を理解し、判例タイムズの表による通常金額とは別個の特別出費となることを相手方にも指導してくれた。ただ当初、調停委員の片方は支払っている婚姻費用が既に高額であることから、この高額な婚姻費用の使い道を明らかにせよという夫側の主張に追従し、判例タイムズの表は、「所得の分配であり、使い道は問わないこと」を何度主張しても理解せず、大変な苦労をした事を付記する。この調停委員会との疲労するやりとりは相手が調停委員会であるだけに、当事者ではとても屈せずに戦う事は不可能であったと思う。相手方の年収が、給与所得なのか自営業所得なのかによって、婚姻費用は大きな差が出てくる。そのため、自分自身の経営する会社でありながら、その会社の発行する源泉徴収票を提出して給与所得者であると主張する人は多い。妻側が何も詳しい事情を知らされていないと、このことに気づかない場合もある。本件では、以前の会社を辞めた事情や、ネット上で夫の個人名から何らかの会社を経営している人物であると言う推測が成り立ったため、裁判所の指導を得ながら、相手方に勤務会社の決算書の提出を粘り強く働きかけ、断り続けるのであれば、勤務先会社に決算書中の同族会社の判定に関する部分(株式保有率がわかる)だけでも照会請求をおこなうと粘ったことで提出を得た。

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松江 仁美 弁護士からのコメント

婚姻費用は、生活の糧で有り、待ったなしの問題。以前婚姻費用は生活保護的発想を持っていたため、女性の方にある程度の年収があったりすると支払いがなされなかったり、またある程度の婚姻費用が支払われていると、それ以上請求することが難しい事案が多かった。しかし、現在は所得の分配という概念が基本であるため、双方の年収から割り出された婚姻費用については、それをどう使うかという議論は生じてこない。また、本件のように、いかに通常の婚姻費用が高額であろうと、それはその所得の分配のレベルの話で有り、特別な出費となる療養費については、別途上乗せが可能であるのは当然である。しかし、調停委員会にもこのことをきちんと理解していない方がいたりするので、注意が必要。婚姻費用の制度そのものの理念的な理解が必須となる。また、仮にその後、離婚という話し合いに進むにせよ、兵糧攻めに遭いながらでは話し合いもできない。まずは確実な生活費を確保して、そこから、前向きな話し合いに進む事の環境整備の大切さは言うまでもない。また、財産分与を決める上でも夫側が何をして働き、どんな財産を形成しているのか知っておかないと主張立証に苦しむことになる。ところが、夫の収入実態について、正確に知らされていない妻は多い。結婚に際して、充分に情報を開示しあう約束をしておくことも大切であるし、常日頃、情報を収集する姿勢を持ち続けることが大切。