犯罪・刑事事件の解決事例
#相続人調査 . #相続登記・名義変更

【相続問題】【依頼者:内縁の妻】夫の死後、夫の相続人から家の立ち退きを求められた事例

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渡部 孝至 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人はるかぜ総合法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

60代 女性

相談前の状況

相談者の女性は、20年以上もの間、男性と同居し事実上の夫婦として生活してきました。入籍はしておらず、子供もおりませんでした。その後、男性が死亡し、男性の相続人(子供)から、男性の自宅から出て行くように求められました。なお自宅は亡き男性の名義のままでした。女性は、自分は相続人ではないことも分かっているため拒むこともできず、かといって長年住んでいた家を出ていくわけにもいかず、対応に困り弊所へ相談に来られました。

解決への流れ

内縁の配偶者が、家の所有者である他方配偶者の相続人から退去・明渡を求められた場合、これを拒めるかについては従前から争いがあり、権利の濫用であるとして退去・明渡請求を認めないという判例も多く見られます。ただし本件は、一時的ですが別居期間があったことや、仮に退去したとしても近くに実家があるため退去することで生活ができなくなるなど、必ずしも上記判例と同じ結論が出るとは言い切ることのできない事例でした。弊所としては、裁判上争うことはリスクがあると考え、男性の相続人と合意することで解決する方法を模索しました。男性の相続人(子供)と粘り強く交渉した結果、女性が亡き男性の介護のために自らの財産から介護費用を出捐していたという事情もあって、無事に相続人からの退去請求を拒むことができました。

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渡部 孝至 弁護士からのコメント

相続に関して被相続人の内縁配偶者の権利は一定程度保護されていますが、相続人との争いとなった場合、必ずしも相続人と同等の立場で権利を主張できるとは限りません。将来的に内縁関係を継続するのであれば、本件のような事態が生じた場合に備え、例えば遺言を残しておくとか生前に財産を贈与しておくなどといった手段を講じておくことが必要です。本件は、粘り強い交渉が実を結び、最終的に相手方が譲歩し和解に応じてくれたため、女性は不利益を被らずに済みました。可能であれば、事前に弁護士に相談することにより、相続時の対策を立てておくことが重要ではないかと思われます。