この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
被相続人は要介護になり、施設に入った後は、介護を行っている相続人の1人が事実上預金を管理していました。被相続人が亡くなったあと、口座を管理していた相続人から相続手続きを簡略化するために若干の金銭の支払いを提案されて、遺産分割協議書に印鑑を押すように求められました。クライアントとしては、そのような額での解決に不信感を覚え、弁護士に相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
弁護士が被相続人の口座履歴を全て調べ、その相続人は、被相続人の口座から、キャッシュカードで50万円ずつ3年間引出し続け、最終的に1500万円もの使途不明金が発覚しました。調停では、1500万円の使途をめぐって争いになりましたが、施設にいる被相続人が多額の金銭を使うことは通常考えられないので、使途不明金は相続財産に組入れられるべきであると説得をしました。相手方は相当額の使途不明金の存在を認めたので、相続財産となり、クライアントは適正な相続財産を受取ることができました。
本件のような場合に、使途不明金が争われると、民事訴訟で決着することが多く、それには時間がかかるため、クライアントの負担も大きくなります。そのため、早期解決を望まれるクライアントの希望を尊重し、調停で和解することにしました。相続に不信感を持っている場合には、相続前のお金の動きの調査をする必要があり、迅速な解決のためには、弁護士に相談することをお勧めします。