この事例の依頼主
40代 女性
まずは当時の私の状況を説明させていただきます。男の子が一人(11歳)と女の子が一人(9歳)の家庭であり、元旦那と4人家族で生活していました。オーソドックスな構成の家庭であり、私も元旦那もこれが初めての結婚です。私はもちろんですが、元旦那も浮気はしていなかったはずです。元旦那は長男に毎日酷い暴力を振るっており、一回は児童相談所が長男を保護していた時期もあります。やはり男の子であるという事が大きいのか、本当に毎日殴ったり蹴ったりと家庭内暴力を続けていました。「男がこれくらいのことで泣くな!」ともよく言っていました。そして、我が子は二人とも大人しいほうであり、親に反抗することなどができない性格でした。そもそも暴力の影響で萎縮していた可能性が高いとは思いますが。しかし、「周りにバレたらまずい」という意識はあったのか基本的に顔は殴らず、服を脱がせてお腹を殴ったり、太股などにタバコの火を押し付けたりしていました。ですが、そこまで理性が働く人間ではないので、たまに理由もなく激昂して顔も殴っていました。そして、長女のほうには暴力を振るってはいないと思います。(あくまで私が知る限りではですが)しかし、元旦那はよく「○○(長男の名前)がきちんとした大人に成長してほしいから、俺も辛いが殴っているんだ」と、長女に言って聞かせていました。「お前は良い子だから殴る必要がないんだ。だが、もしも俺の教育のことを学校の先生や友達に言ってしまうのであれば、お前の事も殴ってやるしかない。俺も辛いけどな」とも言っていました。つまりは、旦那の認識としては「あくまで教育」なのです。しかし、だからこそ子どもたちが、人の話をよく聞き、勉強でもできる良い子に育っているという側面を否定することはできないと思っていました。ただし、長女に対して「お前もだんだんいい女になってきたな」ですとか「そろそろ身体が膨らんでくるのかな」などと、セクハラのような言動をしていた事が気になってはいました。そして、私もよく夫に暴力を振るわれていました。私は専業主婦でありあまり外に出ませんから、顔なども目立つ形でよく殴られていました。ただ、元旦那曰く「私に落ち度がある場合しか殴らない」とのことなので、やはり元旦那だけが悪いというわけではないと思っていました。ちなみに「あまり外に出ない」とは言いましたが、専業主婦ですから普通は食料品の買い物をするために外出をする必要がありますよね。また、我が家の場合は元旦那はスーツを着て仕事をしていましたから、結構頻繁にクリーニング屋さんに行かなければなりません。ですが、この辺りの仕事も忙しい合間を縫って元旦那が全部引き受けてくれていました。そして、元旦那は「面倒なことは全部俺がやってやるからな」と言ってくれます。さすがに私も炊事洗濯はしますが、そこでミスをしたときに殴られてしまうのは仕方がないのかなと思っていました。ですが、ミスをしなければ本当に優しい旦那だと思いますし、養子の長男に暴力を振るうことを減ります。実際、元旦那の機嫌がいいときは、我が子も笑顔を見せていました。だから、私がきちんとした妻になれば、子どもへの暴力もなくなるのだという考え方もあるのだと感じていました。ですから、今回は弁護士の先生に「旦那の暴力をやめさせてほしい」という相談をさせていただきました。※これらの内容は個人を特定できないよう、相談者の承諾を得て編集し載せております。======
弁護士の先生に相談して、私が軽い洗脳状態にあったことが分かり驚きました。ですが、今となっては当時の私の姿を冷静に捉えることができます。あの頃の私はどう考えても「DVを受けている妻」です。そして、長男は「実の父親から暴行を受けている子ども」でした。それに、我が子二人もあのままいけばもっと洗脳されていた事でしょう。弁護士に相談をする前は、「場合によっては離婚をする事になるかもしれないけれど、できればこれからも夫婦のままでいたい」と思っていました。ですが、先生とお話してそれがとんでもない考え方であることを認識しました。そして、児童相談所とのやり取りに関して弁護士の先生と相談しているうちに、離婚を決意することができました。離婚すれば児童相談所が関わってくる事もなくなりますし、それ以外に児童相談所の介入をなくす方法はないようですしね。まずは、「配偶者暴力等に関する保護命令」の申し立てを行いました。これが「ドメスティックバイオレンス防止法」に沿うものであると知り、自分がドメスティックバイオレンスを受けていたのだと改めて自覚することとなりました。そして、私と長男は、旦那の暴力で負傷したときは必ず病院に行っていました。(元旦那が見ているところで病院に向かうと機嫌が悪くなるので、出勤しているときに行っていました)そのときに毎回診断書を作ってもらっていたのが良かったようで、慰謝料請求も比較的スムーズに進みました。詳しい金額は言いたくないので隠しますが、「離婚に関しての慰謝料の相場」の2倍程度の慰謝料となりました。また、長女は暴力を受けてはいなかったわけですが、「日常的に家族に暴力行為をしていた人間に会いたいはずがない」「今後、暴力被害を受けないとも限らない」ということで、面会交流をしない事となりました。セクシャルハラスメントのような言動も考慮されたようです。それに、ほとんどの自分の考えを主張してこなかった長女も「もうお父さんには絶対に会いたくない」「お父さんは変なことを言ってくるからイヤだった」と言っていたのでこれで良かったと思っています。これで、元旦那との縁も切れました。肩の荷が下りたような気分です。相談前の私の精神状態を今客観的に考えると、本当にギリギリでした。あれ以上洗脳されてしまっていたら、私も一緒になって我が子に手をあげていたかもしれません。そして、それに全く反抗せず受け入れている我が子達がいたかもしれません。「私にも責任がある」という考え方はあえてしないようにしていますが、この先はもっと「優しい親」になって我が子達に愛情を注いでいこうと思っています。※これらの内容は個人を特定できないよう、相談者の承諾を得て編集し載せております。
まず面会交流を断つことができ、私自身安堵しております。本件のように「面会交流をすることで、多大な子どもが精神的苦痛を受ける」ことが容易に想像できる場合でも、「面会交流の大切さ」にウエイトが置かれ過ぎて実行を命令されるケースが少なくないからです。また、慰謝料の金額を高額にすることができ、お役に立つことができたと感じています。依頼者とそのお子さん方が受けた身体的・精神的苦痛を考えれば、当然のことではありますが。