犯罪・刑事事件の解決事例
#加害者 . #痴漢

旦那様が痴漢容疑で逮捕された奥様からのご相談

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澤田 剛司 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人若井綜合法律事務所新橋オフィス
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

40代 女性

相談前の状況

旦那様が痴漢容疑で逮捕された女性からご相談を受けました。具体的な相談内容は以下のとおりです。この度、夫が痴漢の疑いで逮捕されたので弁護士さんを頼りました。夫はやや特殊な仕事をしていますので、毎日帰りの電車に乗るのが午後2時頃であり、そこから20分ほど乗り続けて降車します。そして、その間に20代の女性から「痴漢をした」と言われてしまったのです。ですが、私もこの時間帯にその路線に乗ったことがありますが、ピーク時を大きく外れているだけあって全く混みません。ですから、座れないなどという事はあり得ませんし、「2人が接近して座る」という事さえ少ないくらいです。場合によっては一つの車両に乗っている人数が10人以下というケースさえあります。そのため、そもそも物理的に考えて夫が痴漢をするのはおかしいと感じました。また、もしも満員電車だったとしても夫が痴漢をするはずがないと固く信じております。(ピーク時でも都心ほどぎゅうぎゅう詰めになるわけではありませんが)「夫だから信じたい」という気持ちももちろんありますが、それだけではありません。結婚する前、夫とデートする際に、人通りの少ない場所で私は信号無視をしようとしたことがあります。車が全く通っていないタイミングでしたから、率直に言って無視しても危険性はありませんでした。また、そもそもその横断歩道の信号はほとんど誰も守っていないくらいでした。ですが、そのとき夫は「ルールはルールなんだから守らないと」「もしどこかから子どもが見ていて真似するようになったらどうするの?」と言って、信号を守りました。それ以外でも、夫はとにかく「誰も見ていなくても人としての道徳は守る」という人なのです。そんな夫の姿を見て、私は40代を迎えた今でも日々学んでいます。そんな夫が痴漢をするとはどうしても思えませんでした。しかしいくら私が信じたところで、テレビなどの影響で「痴漢容疑をかけられたら高確率で釈放されない」というイメージがありました。それに、世の中のどんな女性でも、「夫やパートナーが痴漢をした」と言われても、その人の無実を信じるはずですよね。ですから、私がどれだけ信じても、率直に言って意味がないと感じていました。そのため、即座に弁護士さんに連絡しました。他にももしかしたら頼るべき場所があったのかもしれませんが、とりあえずお願いすることにしました。よろしくお願いいたします。※これらの内容は個人を特定できないよう、相談者の承諾を得て編集し載せております。======

解決への流れ

想像以上に早いタイミングで弁護士さんが警察に来てくださいました。そして、検事などとのやり取りをしてくれました。そのまま無罪が確定し、勾留されずに釈放となりました。率直に言って、弁護士さんに連絡を入れてからは「さすがに状況がおかしすぎるから、無罪になるのは確実だろう」と考えることができました。しかし私が本当に心配していたのは、拘束される期間が長引いて夫が会社をクビになることでした。詳しい事は省きますが、夫は今の仕事に強い生き甲斐を感じておりますので、解雇だけは絶対に避けたいと思っていました。それに夫ももう40代後半ですし、クビになってしまったら再就職も難しいですよね。また、どこから噂が広まるか分かりませんし、もしも夫が痴漢容疑で逮捕されたと近所の方々などに知れてしまえば、遠くに引っ越すしかないのではないかとも考えていました。ですが、実際には2日半くらいで釈放されました。解雇にもなりませんでしたし、近所の人にバレる事もありませんでした。今も夫が、「近所の人に愛される中年男性」で居続けることができているのも、弁護士さんのおかげなのかもしれませんね。しかし、やはり「拘束期間が長引いていたら」と考えると背筋が凍りつきます。夫は会社で立場が強いわけでもありませんから、クビになっていたかもしれません。事情を説明していればそれでも何とかなるかもしれませんが、「痴漢の疑いをかけられる時点で信用できない」と思われていた恐れもあります。それにしても無事に釈放されたとはいえ、2日半も緊張が続いたので大変でした。当事者でない私でさえ、この間食事がほとんどできないくらいのストレスを感じていましたので、拘束期間中の夫の心情を思うとやるせない気分になります。ちなみに、被害者だと主張していた女性はかなりアルコールに酔っていたそうです。率直に言って、「夫の言うことではなく、そんな女性が言うことを信じるのか……」という気持ちは今も消えません。そして、現在の夫はと言いますと、トラウマになっているそうで電車通勤をやめました。今では自転車通勤をしています。夫の一番の趣味は読書であり、通勤中はいつも本を読んでいたそうです(この点からも、痴漢をするはずがないというのが分かりますよね。両手が塞がりますし)。ですが、自転車通勤をするとなると読書の時間が取れなくなってしまうので可哀想だと思います。別に自宅にいても読書をしていて構わないのですが、夫は私に気を使って家事を手伝ってくれますので、あまり自分のために時間を使うということをしないのです。ただ、今後一生電車に乗らないというわけにもいかないでしょうし、職場でも1年1~2回ほど「電車で現場に移動せよ」という指示が出るので心配です。そのときは職場のどなたかと一緒に乗ることができれば夫も安心できると思いますが、もし「一人で乗れ」という指示が出てしまったと考えると不安です。なぜ誰も見ていない信号でも守るほど真面目な夫がこんな目に遭わなければならなかったのかと思うと悔しいです。しかも、夫が「女性としては本当に痴漢をされたと思ったんだから仕方ないさ」と言っているのが居た堪れないです。夫の内心は分かりませんが、とにかく「女性は悪くない」というスタンスを取っています。本当に人格者だと思いますが、それではいつまでも精神的に辛いままなのではないかとも感じています。ですが、とにかく弁護士さんに助けていただけて本当にありがたかったです。感謝してもしきれません。

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澤田 剛司 弁護士からのコメント

依頼者様からお話を聞いた時点で、当職としても無罪であることを確信しました。依頼者様が仰るとおり乗車率の関係上、他人同士が接近するとは考えにくく、少し失礼な表現ですが「魔が差す」ということもないだろうと思えたのです。また、検事などに「女性は酔っていた」などと伝えたことで、比較的早く釈放できました。そして、旦那様が徹底して無罪を主張していたのも大きかったです。少しでも「私がやったかもしれない」と匂わせることを言ってしまったら、そのせいで大変なことになっていたかもしれません。ですが、勾留が長期継続すると当人の職場でも「なぜこんなに休むのか」と話題になることは避けられませんので、「嘘の自白をしてでも釈放されよう」と考える人は少なくありません。そうでなくても、プレッシャーに耐え切れずに虚偽自白をする方もいます。この辺りの事情は「痴漢容疑で捕まると大変な事になる」というイメージをメディアが作り上げたことも影響しているのかもしれません。痴漢冤罪トラブルに限りませんが、逮捕されたらすぐに弁護士を手配することが大事です。普通は警察などから「弁護士を利用することができます」と説明が入るものですが、その説明は義務ではないので、稀に行われない場合もあるという事を覚えておきましょう。