この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
依頼者は、「絶対にもうかる情報がある」「ある競馬レースの八百長情報を教える」などと勧誘を受けて、競馬情報の提供を受けることの対価として合計500万円を支払ってしまいました。しかし、提供された情報に従い馬券を購入しても一向に当たらないことから、騙されたのではないかと思い相談に来られました。
解決への流れ
相談後、直ちに業者に内容証明を送り、500万円を返金するよう求めました。しかし、この内容証明は、保管期間経過で戻ってきてしまいました。そこで、業者の住所地まで出向き、会社の実態が存在するか確認したところ、この住所地にはレンタルオフィスがあるのみで、業者の実態はありませんでした。私は、業者が実態を隠し、資金を引き上げて逃げる準備をしていると考えました。そこで、依頼者と相談のうえ、その翌々日に依頼者が知っている業者の預金口座に対する仮差押えの申立を裁判所に対して行いました。その結果、約440万円の業者の預金を仮差押えすることができました。仮差押えをしただけではこの440万円を回収することはできませんので、引き続き、業者に対し500万円の支払いを求める訴訟を提起した結果、その全部につき勝訴判決を得ることができましたので、判決確定後強制執行を行い、上記440万円を回収することができました。なお、残りの60万円については、業者代表者の自宅を訪れるなどして回収を試みましたが、回収することができませんでした。しかし、戻ってこないと思っていた500万円のうち、440万円の返金が受けられたことにつき、依頼者には満足していただけたので、よかったと思っています。
詐欺業者は、執行逃れのためのために資金を業者名義以外の口座に動かしたり、レンタルオフィス等を用いて所在をくらませたりすることから、被害金を全額回収することについては困難が伴うことが多いです。しかしながら、最後まであきらめずに回収のための手段を尽くせば、本件のように、全額とはいかないまでも、大部分の損害の回復をすることができることもあります。本件では、いつ返金が受けられるか不安を覚えながらも、最後まで私を信じて二人三脚で頑張ってくれた依頼者のおかげ(相手方預金口座の情報等を、かなり積極的に収集してくれました)で解決できた事案として、記憶に残る事件です。