この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
電車内で痴漢と間違えられ、迷惑防止条例違反の罪で現行犯逮捕された事案です。
解決への流れ
逮捕翌日の昼頃、ご家族から依頼を受け、受任しました。ご家族から身元引受書を受領しました。その数時間後、検察庁で被疑者と接見しました。その際、否認が認められなかった場合のリスクを説明した上で、弁護方針を確認したところ、徹底的に争いたいとの意向でした。検察官に勾留請求しないように求めましたが拒否されました。そこで、同日夜、警察署で、被疑者と接見し、勾留質問に対するアドバイスをするとともに、誓約書(逃走しない、被害者と同じ電車に乗らない)を取得しました。翌日朝、裁判官に勾留しないことを求める意見書(上記の誓約書添付)を提出した上で、裁判官と面接し、改めて、釈放を求めたところ、勾留請求は却下され、釈放されました。その後、在宅で捜査は継続しましたので、被疑者に取調べについてのアドバイス等を行うとともに担当検察官に粘り強く無罪である旨を主張しました。最終的に、処分保留で終了しました(事実上の無罪)。
迷惑防止条例違反(ちかん)について否認しても、被害者の供述が重要視される結果、否認が認められて、無罪になるケースはそう多くはありません。その辺の事情は、映画「それでもボクはやってない」などで描かれているとおりです。そのため、否認する場合、勾留が長引く可能性等のリスクを伝えた上でそのまま否認を続けるのかどうか、本人とじっくり話合い、弁護方針を決定することになります。そして、否認を続けることにした場合は、勾留の要件がないとして、勾留決定に対する準抗告や勾留取消請求を行います。本件は、勾留決定前の事案でしたので、勾留請求をしない旨の検察官に働きかけたり、勾留しないことを求める意見書を裁判官に提出し、裁判官と面談して勾留請求却下を求めました。否認しているにも関わらず、勾留請求が却下され、釈放されたのは、本人の誓約書(逃走しない、被害者と同じ電車に乗らない)や罪証隠滅や逃亡を本人に行わせない家族の身元引受書の存在により罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことを裁判官に理解してもらえた結果だと思われます。在宅で捜査は継続するので、否認が認められず罰金の可能性もあったのですが、処分保留で終了(事実上の無罪)したのは、粘り強く無罪を主張し続けたことが効を奏したものと思われます。