この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
相談者は、都内在住で、サラリーマンの方でした。実家の父が他界しました。母はすでに他界していなかったため、依頼者が相続人となりました。依頼者は全く把握していなかったのですが、不動産の相続登記をするために司法書士に手続に必要となる戸籍を取り寄せてもらったところ、亡くなった父には愛人がおり、その人との間に子供もいることが判明しました。依頼者は、異母兄弟に連絡を取ろうと考え、司法書士が調べてくれた戸籍附票上の住所に手紙を送りましたが、その手紙が「宛先不明」で戻ってきてしまいました。このままでは遺産分割も相続の手続も進めることができないため、依頼者は、ヴェリタス法律事務所の岡田弁護士に相談に行きました。
解決への流れ
受任後、異母兄弟の住民票を追跡しようとしましたが、保存期間が経過しており取得することができませんでした。戸籍調査の過程で、異母兄弟には、離婚した妻との間に、(代襲相続人または再転相続人の可能性がある)長男がいることが判りました。そこで弁護士が、長男に手紙を送って異母兄弟の所在に関する情報の提供を求めたところ、返信はあったものの、残念ながら「父とは10年以上会っておらず、消息は不明。」とのことでした。弁護士は、家庭裁判所に異母兄弟の不在者財産管理人の選任を申し立てたうえで、遺産分割調停を申し立てることにより、不動産の相続登記や売却、預金の解約を進め、依頼者は、無事、父の遺産のうち法定相続分に相当する額を得ることができました。
本件は、相談者様が把握していない異母兄弟が存在するケースでした。会ったこともないが相続人となる兄弟が存在する場合、注意する必要があります。面識の無い親族や、関係性の薄い他の相続人と相続財産について話す場合、専門家に依頼して連絡・交渉を進めれば、無用のトラブルを避けることができます。また、親族と長期間連絡を取っていない場合、いざ連絡を取ろうとしても所在不明である場合が少なくありません。遺産相続問題について、不安がある方もそうない方も、早めに一度弁護士に相談することが大切です。