この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
父親が亡くなりましたが、その父親は、同居していた兄に対して「全て兄に相続させる」という内容の遺言を作成しておりました。兄は、私立大学に進学し、相談者は高卒で働いたため、学費も兄ほどかかっていません。相談者は、兄とは仲が悪かったのですが、相談者と両親と仲が悪い状態ではありませんでした。このような状況において、兄が父親に対し遺言を書かせたようです。相談者としては、正当な権利を行使したいので、弁護士に相談にきました。
解決への流れ
公正証書で一人の相続人に全て相続させる、という遺言を遺すことはしばしばあります。本来は遺留分に配慮した遺言が望ましいのですが、遺言者がそのことを知らないまま、もしくは、あえてそのような遺言を作成することがあります。遺留分制度とは、法定相続人(兄弟姉妹を除く)を保護するため、必ず相続財産の一定額を保障する制度をいいます(民法1042条)。ご相談の事案の場合、二人兄弟なら法定相続分は半分ですが、民法1042条で、最低限4分の1の遺留分が保障されています。そこで、遺留分額減殺請求を行使することにし、内容証明を送り、遺留分心外額請求権を行使し、話し合いで一定程度の金額を受け取ることができました。。
遺留分侵害請求権を行使するには期間制限があります。民法1048条には、「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する」と定めます。遺産整理をしていれば、あっという間に1年が経過します。早期に弁護士に依頼して権利行使をしていく必要があります。