この事例の依頼主
70代
相談前の状況
見知らぬ業者から給湯器(ボイラー)の無料点検という電話を受けて、自宅に来てもらったところ、給湯器が古いことを理由に「今は半導体が不足しているから、今のうちに交換しておいた方がいい」などと言葉巧みに言われて、そのまま契約書にサインしてしまいました。後日、キャンセルしたいと伝えましたが、クーリングオフができる8日間を過ぎていることを指摘されて、「契約書にサインしたのだから、もうキャンセルはできない」と言われて一切応じてもらえませんでした。
解決への流れ
弁護士から電話して通知書をFAXしたところ、その日のうちに相手の業者がキャンセルに応じました。
機材の設置といった工事請負契約については、クーリングオフ(特定商取引に関する法律9条1項に基づく契約解除)によらずとも、施工前であれば「いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができ」ます(民法641条)。この解除権を否定する特約は無効です(特定商取引に関する法律施行規則6条1項2号イ、消費者契約法10条等)。ここにいう「賠償」すべき「損害」とは、施工前ですから機材の代金や工賃そのものは除外され、かつ性質上消費者に負担させることが相当といえるものに限定されますので、工事代金そのものと比較すれば大きく低減されることが見込まれます。加えて、仮に契約書に違約金の定めが記載されていても、当該違約金の額のうち「平均的な損害」を超えるものは無効です(消費者契約法9条1項1号)。このように、8日以内のクーリングオフに拠らずとも、施工前であれば契約解除による解決ができますので、同様のケースでお悩みの方はぜひご相談ください。