この事例の依頼主
女性
相談前の状況
違法な雇止めをされました。いわゆる契約社員でした。会社と契約の更新をしようとしたところ,会社から拒絶され,違法不当な,ひどい内容の労働条件を受け入れるならば,雇用契約を更新するといわれたのです。当然のことながら,違法不当な労働条件を受け入れるわけにはいきません。会社とは交渉を重ねましたが合意にはなりませんでした。労働契約上の地位があるわけですから,従業員であるはずですが,出勤できませんし,お給料も支払われません。そこで,訴訟をすることになりました。
解決への流れ
和解をしました。和解内容としては,退職をする代わりに,今までのお給料相当額と定年退職するまでの将来のお給料相当額の一部を支払ってもらうという内容です。ほとんどこちらの勝訴といえるような和解内容でした。和解内容には満足しています。
労働問題を専門的に扱う複数の法律事務所に相談に行って,断られて,受任してくれる弁護士を探している方でした。最初,相談をお聞きしている限りでは,敗訴しそうとも思いましたが,結果的には,良い和解になり,ほっとしました。最初の見立てで難しそうでもチャレンジすることの大切さを改めて感じた事件です。主な争点は,労働者側からの退職の意思表示の有無,いわゆる退職届の効果があるかないかということでした。ほとんど有効な文献がなく,苦労しましたが,労働契約法19条の趣旨から説き起こして主張し,裁判所にも相手方弁護士にも理解してもらえた結果ではないかと考えています。契約社員でも,事件によっては,数年分の賃金になりますから,かなりの金額になります。契約社員だからとか,こちらにも非があるからと泣き寝入りしないで,弁護士に相談することが大切です。また,何人かの弁護士に断られてもあきらめなければ,ときには,良い結果につながることがあります。