犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

他の相続人に対して生前贈与されていた場合の対処法

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種村 求 弁護士が解決
所属事務所川崎パシフィック法律事務所
所在地神奈川県 川崎市川崎区

この事例の依頼主

20代 男性

相談前の状況

最近,父が亡くなりました。父と母は相当以前に離婚していて,父の相続人は父と母の子である私と,父の後妻の方だけです。父のめぼしい遺産は居住用マンションだけで,そのマンションも5年ほど前に後妻の方に生前贈与されています。このような場合には,私は父の遺産を何も取得することができないのでしょうか。

解決への流れ

父がその名義のマンションを後妻の方に生前贈与した行為について遺留分減殺請求をし,協議では解決することができませんでしたが,訴訟提起した後の裁判上の和解で,遺留分に見合う金額を支払ってもらうことができました。

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種村 求 弁護士からのコメント

1人の相続人に対し全ての財産を相続させるというような遺言書が作成された場合であっても,兄弟姉妹以外の他の相続人は,直系尊属のみが相続人である場合(例:子が亡くなって父が相続するような場合)を除いて,法定相続分の2分の1についてその遺産を取得した相続人に対し遺留分減殺請求を行うことができます(民法1028条)。そして,この遺留分減殺請求は,生前贈与に対しても行うことが可能です。なお,民法1030条からすると,生前贈与について,「相続開始前の1年間にした」か,「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたとき」にしか遺留分減殺請求ができないように思えます。しかし,最高裁判決(最一小判昭和51年3月18日民集 30巻2号111頁,最三小判平成10年3月24日民集52巻2号433頁)により,よほどのことがない限りはいつなされた生前贈与であっても遺留分減殺請求の対象となることとなっています。そのため,生前贈与を遺留分減殺請求の対象とすることを躊躇する必要はなくなっています。事案によって,取り得る対応は様々ありますので,まずはお気軽にご相談ください。