この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
夫婦は長年、円満な婚姻生活を築いていましたが、子どもたちが大きくなり、両親の手を離れるようになると、お互いの気持ちにずれが生じるようになりました。そして、家庭内別居生活が続いた後、とうとう妻から離婚を請求されることになりました。夫は、突然の離婚の申し出を受けてどうしたらよいかわからなくなり、1人で悩み続けていました。
解決への流れ
当事務所でお話をうかがい、お二人の婚姻生活の状況について詳細にお話をうかがいました。その上で、ご主人のお気持ちを何度も確認したところ、当初は妻との関係修復を希望していたものの、修復が難しいということを悟り、離婚を受け入れる方向へと変わっていきました。もっとも、離婚を前提としても、ご相談のケースでは、自宅にかかった夫名義の多額のローンが残っていた上、夫には退職金等の財産がありました。このような多額のローンや退職金等、財産分与をどのように精算するのかが大きな争点となっていました。この点、当事務所では、そもそも夫側には目立った落ち度がない一方(婚姻関係の破綻の原因が見当たらない)、妻側から積極的に離婚を切り出してきたという経緯に着目しました。本件は、夫婦関係が悪化した原因は、夫よりも、むしろ積極的に離婚を求めている妻側にあると考え、妻からの離婚請求を認める代わりに、財産分与では譲歩するよう交渉を重ねました。その結果、最終的に自宅の残ローンは妻が引き取ること、妻から夫に対して解決金を支払うこと、さらに夫の退職金等については精算しないこと、で和解に至ることができました。
本件では、財産分与が大きな争点となりました。原則どおりに考えた場合には、夫の方が退職金等、多額の財産を有しているため、夫から妻に対して財産を分与することになりますが、本件では離婚に至る経緯等からして、妻側にも一定の落ち度があるといえると考え、この点を中心に検討を重ねました。その結果、原則をだいぶ修正し、夫側にとって有利な財産分与の内容で解決することができました。常にこのような結果を得ることができるわけではありませんが、粘り強く交渉を重ねることでより良い解決に至ることができる一例と言えます。※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。※事務所として対応いたしました。