この事例の依頼主
女性
相談前の状況
離婚した元夫から,自宅の明渡しを要求された女性からの相談です。相談者の女性は,元夫と離婚するにあたり,財産分与や慰謝料など,財産関係の条件は何も決めることができず,離婚届へのサインを求められるままに応じてしまいました。そして,離婚届を提出された後,子どもたちと一緒に住む自宅からの退去を求められてしまい,どうして良いかわからなくなり,当事務所にご相談にお越しになりました。
解決への流れ
当事務所でお話をうかがうと,そもそもご相談者と元夫との関係が悪化した原因は,元夫の暴力や異性関係にあることがうかがわれました。すでに離婚自体は成立しているものの,財産関係の条件は何も決めていなかったことから,早急に財産分与や慰謝料等の請求を検討することにしました。本件では,時効の問題もあったため,ご相談を受けてから早急に対応する必要がありました。そして,早急に調停を申し立て,協議を重ねた結果,自宅の退去に応じる代わりに,解決金として100万円を支払ってもらうことで合意しました。なお,本件では,元夫の資力が乏しいという事情もあったために,解決金をどのように支払ってもらうよう道筋を立てるかという点でも苦心しました。
※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。※事務所として対応いたしました。一旦離婚してしまうと,もう何も元配偶者に対しては請求することができないと考えている方もいらっしゃいますが,その考えは不正確です。離婚した後も,財産分与は2年以内,慰謝料は3年以内であれば請求することが可能です。もっとも,離婚してから時間が経てば経つほど,財産分与や慰謝料を請求するための証拠が失われていってしまうリスクがあります。また,消滅時効にかかってしまうというリスクもあります。本件でも,消滅時効にかかる直前での相談でしたので,証拠の問題はもちろんのこと,時効にかかってしまうリスクも高いケースでした。離婚の際に取り決めるべき条件は複雑かつ重要なものばかりですので,決して安易に決めるべきではなく,できる限り事前によく検討してから決める必要があります。